20世紀に生まれたからには、好きなカメラ、好きな腕時計のひとつやふたつ、ないことには、人生の何割かを損すると思うのですが、それはそうではなくて人それぞれかもしれない。
白牡丹ネガフイルムに黒く咲く 小林幹彦
秒ごとに音する時計桜桃忌 同
フィルムを使うカメラも、秒針のある時計も、もうあまり見ない「過去」の「懐かしい」ものになってしまいました。どちらもいまはデジタルがもっぱら。
2句とも、そしてこの2句をワンセットにして、大好きです。
アナログカメラにはいつか戻りたいし、音はせずとも針の動く腕時計を愛用している(いま使っているのは主にみっつ。ひとつは自動巻き、ひとつは手巻き、それと乾電池)せいばかりではなく。
「きれいな風が吹いている句」です(すみません。誰にも通じない自分だけの言い方で)。
ところで、2句目。なぜ桜桃忌なのか。
「音」だから、オートー、桜桃。
もしそんな発想なら、うれしいかぎりですが、きっと違いますね。
掲句は『雷魚』第96号(2013年11月1日)より。
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