予約したDVDをTSUTAYAが2本ずつ郵送で送ってくれるサービス。その2本に勝ち負けを付けるという、ヘンテコリンなシリーズの第24弾。
ゴーストライター (ロマン・ポランスキー監督/2010年)
SRサイタマノラッパー (入江悠監督/2009年)
「ゴーストライター」は元英国首相の自伝ゴーストライターが、隠された事実を知り、陰謀に巻き込まれていくという話。映画に適度の格調とサービス精神があるし、主演のユアン・マクレガーの魅力、堅調。
「サイタマノ~」は埼玉県のラッパー(デビュー志望?)の青年たちの話。
どちらも映画タイトルがそのまま主人公の職業(?)を示している点が共通。前者が不本意の仕事ながら食える、後者が本心で熱望しながら食えない、という点が対照的。
対照がもうひとつある。前者が(国際)政治情勢にきわめて近いところの出来事であるのに対し、後者は「世界」の「情勢」を歌う(ラップする)がそこから徹底的に遠い(舞台となる埼玉県のその町にはレコード店さえない)。
結論を先に言うと、「SRサイタマノラッパー」の勝ち。
「ゴーストライター」は結局のところ、陰謀論にもとづく話。陰謀論というのは、リアルにせよ映画のお話にせよ、いまさらどこがおもしろいのかわからない。どんなに精緻に、またいきいきと描かれようとも、所詮は陰謀論。
CIAの、あるいは秘密結社の、あるいは悪の枢軸の、あるいは某カルトの、でもなんでもいけど陰謀で世界が(一部でも)動いているという筋書きは、もう、どうでもいいかな、と。
「サイタマ~」は評判のいい映画。情けない子たちの一途さを描くというのは、青春映画の王道ですよね。見てみたら、予想したよりケレンや小ネタではなく、コテコテをやっていて、気持ちがいい。なつかしいくらいのコテコテっぷりです。
出演者好演、紅一点的なヒロインも好演。
ラップ音楽はあまり興味がないのですが、テーマ曲(ラストできちんとフルで流れる)、なかなかよかった。
世界と私たちがうまく行かないのは、陰謀なんかではないのですよ。もともと、世界との軋みのなかで暮らしていくしかないのです。
で、この流れで、続篇の「サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム」(2010年)、「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」(2012年)も借りて観る。どちらも、がっかりはしない。2は女の子、3はバイオレンスっぽくと、1とは別の柱や味つけを持ってくるところ、しっかりとしたエンターテイメントです。
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