感銘句に選んだ「三角巾の頂点は秋エヂンバラ」のほか、「ひまはりのこはいところを切り捨てる」(これは人気の集まりそうな句ですね)、(…以下略)果たして、「ひまはり~」の句は、もっとも点数を集め、「豆の木の一句賞」を獲得。私は、自分の予想が当たったことをひとり喜んだ。
俳句を作る人たちの集団(結社や同人、もっと小さくは句会)には、選好の傾向が現れる。私は同人「豆の木」にそれほど長くいたわけではないが、「豆の木」好みの傾向をふんわりと把握していた。本格・大仰は好まれない。口語は比較的受け入れられやすい。意味了解性が高すぎてもダメ。わからなすぎてもキツい(このへんは俳句世間一般とほぼ同様)。あらためて、この句、
ひまはりのこはいところを切り捨てる 宮本佳世乃
句集『鳥飛ぶ仕組み』にも入っているこの句、いいあんばいに「豆の木」好みだと思う。
で、その枠をとっぱらっても、面白い句ですよね。 わかるようなわからないような、〔わかる〕と〔わからない〕のあわい、明示と暗示のあわいで、うまい具合に成り立っている。なおかつ、読者にややこしい作業を強いることをしない。「ひまわりのこわいところって、どこなんだろうね?」と、句を繰り返していればよいだけ。してみると、これは、幼児にも愉しめる句かもしれない。前述のセリフを、母親から幼児に向けたものと考えても、そのまましっくり来る。
「豆の木」好みに、もうひとつ、イノセント(無垢)の要素を加えてもいいのかもしれません。
なお、この句については、増俳で三宅やよいさんが紹介していらっしゃいます。
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句集『鳥飛ぶ仕組み』から気ままに何句か。
洗濯を終へて秋めくおばあさん
パラフィン紙夏の名前を考へる
いつまでも涙を流す鯨かな
かと思うと、
ぼうたん崩る一本の針銜へ
鷹わたる光を運ぶ鏡たち
といった清冽な句も。前者などは、故・八田木枯さんがこれを読んだら少なからず嫉妬したのではなかろうか(反論は大いに認める)。
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