宮本佳世乃句集『三〇一号室』の最終章「フリスク」は、特定の故人に捧げられているっぽい。
「っぽい」と言ったのは、明示されているわけではないので。私も知っていたその男への鎮魂なのか思い出なのかサヨナラなのか、それも判然としない(俳句って、判然としないものですよね)。
ペンギンの母より生まれ焼けて骨 宮本佳世乃
祖母がペンギンであること、日本海を彷徨うペンギンを娶ったのが彼の祖父であること、そんなことを故人の文章で読んだ気がする。これが実話でもなんでもどうでもよく、祖母と母の違いもまたどうでもよく、ともかく母方にはペンギンがいた、ということなのだ。
ペンギンの末裔である彼は死に、焼かれて骨になった。
その一部は日本海に散骨されたと聞く(私の思い違いでなければ)。
どこかを漂っていたものが何かの拍子でこの世でヒトとなり、それが終わると、また漂う(焼き場の煙は空を漂う)。始まりと終わりと終わり以後に関して、とても納得の行くかたちだと思います。
散骨されたのは日本海ではなかったような(私の思い違いでなければ)。
返信削除日本海のほうが、話の都合がよろしいのですが。
返信削除残念です。
が、海はつながっているので、オッケーです。