異称の一部としてしばしば用いられる「太郎」。
風が出る拝み太郎に月が出る ふけとしこ〔*1〕
拝み太郎は蟷螂の異称。おおらかで土俗的な雰囲気が出る。蟷螂という言い方では出ない味。
蘆咲くと坂東太郎油凪 橋本榮治〔*2〕
こちらも「利根川」では、「あぶらなぎ」のコッテリ感に負けてしまう。「坂東太郎」ならでは。
濁流を土用太郎の主食とす 油布五線〔*3〕
土用太郎は土用の一日目。主食に対応した擬人が効果的。
ほかにも、河童の異称「川太郎(がたろ)」、「牛太郎(妓夫太郎)」(客引きや護衛をしながら夜鷹などについて歩く男。また、遊女屋で客引きをする若い男。:辞書)などたくさんあるのだろうが、俳句ではまだ見たことがない。
〔*1〕『ほたる通信Ⅱ』(2013年11月)より。
〔*2〕参照サイト≫http://taka.no.coocan.jp/a1/cgi-bin/haikukensaku.html
〔*3〕『油布五線句集』1981年/八幡船社
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