2016/06/08

■むせ返るほどのリアル アニメ映画「アノマリサ」

アカデミー長編アニメ映画賞にノミネートされるなど話題の「アノマリサ」(チャーリー・カウフマン、デューク・ジョンソン監督/2015年)をレンタルで観ました。

人形を使ったストップモーションアニメ。チャーリー・カウフマンは「マルコヴィッチの穴」「エターナル・サンシャイン」の脚本家。奇妙な話を書く人ですね。

「アノマリサ」もまたタイトルどおりアノマリー(異常、変則)ではあるけれど、前述2作とは異なる奇妙さ。

簡単にいえば、すべてに飽き飽きした男の1泊2日の物語。

映画の感触を、ひとことでいえば、リアル。

人形アニメなのに、リアル。むせ返るくらいリアル。

見ているあいだも、見終わったときも、気分が、ど~んと重くなりました。


考えてみれば、通常の映画、俳優さんたちが繰り広げる映画という物語は、どんなに日常的で現実的でスケッチ的でも、非リアルなのですね。りっぱな男優、きれいな女優がくりひろげる、という卑近な意味でも、映画という一種ファンタスティックな演出・編集という点でも。


2016/06/07

■ゆらゆら 竹井紫乙句集『白百合亭日常』の二句

竹井紫乙句集『白百合亭日常』(2015年9月/あざみエージェント)に、

世界中ゆらゆらにする装置買う  竹井紫乙

という句があったので、それは、やはり、ゆらゆら帝国のCDかなにかなんだろうなあ…



…と身も蓋もない(しかもきっと間違っている)反応をしたところ、その4ページあとに、もっと身も蓋もない句が。

揺れながら焼きそばパンを食べている  同


このゆらゆらな流れ、お気に入りです。



2016/06/06

【外階段】川に舟? 東京・押上あたり

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2016/06/05

■どんだけ長生きする気やねん、といった感慨 『川柳木馬』第148号より

生き抜こうシーラカンスが笑うまで  小笠原望

シーラカンスは「生きている化石」。種としては数億年生きながらえているんでしょ? すごい!

個体の寿命は100歳くらいらしい。これもかなりのもの。

ただ、シーラカンスと聞くと、やはり個体ではなく古生代以来ずっと地球に棲んでいるという、その種の時間の長さですよね。

そんなシーラカンスですが、笑う? 笑うイメージはない。きっと数億年、笑っていないと思いますよ。どちらかといえば仏頂面。

そいつが笑うまで生き抜こう、というのですから、ちょっと気の遠くなるような話。この先、どのくらいなのか? 数億年単位でしょう。

ここにある、生き抜く覚悟、というか意欲は、ちょっと想像を絶しています。スーパー。

わざわざ句にするなら、これくらいスーパーがよろしいです。


『川柳木馬』第148号(2016年4月)の巻頭は特集的に「作家群像 小笠原望」。60句が並ぶ。掲句はそのうちの一句。


2016/06/04

■組句:皿・妻・双子

秋風や模様のちがふ皿二つ  原石鼎

春風や模様のちがう妻二人  中村安伸〔*1〕

むかひあふもやうのちがふ双子かな  嵯峨根鈴子〔*2〕


パロディー、もじり、本歌取り、呼称はなんでもいいけれど、先行テクストの引用・編集・脚色・アレンジは、俳句の愉しみのひとつ。


〔*1〕『新撰21』(2010年1月/邑書林)

〔*2〕嵯峨根鈴子句集『ラストシーン』(2016年4月/邑書林)