冬木まで硝子二枚を隔てたる 今井 聖
二重サッシなどというトボけてひねくれた読みもできないではないが、やはり、広いガラス窓のむこうにやはり広いガラス窓、そのまたむこうに枝だけの冬木が見えると解したい。住宅なら、ちょっと豪邸。それよりも公共の建物が思い浮かぶ。
一枝一枝がくっきりと、硝子の硬質とあいまって、たいへんに寒そう。
隔てているのは、作者/句の行為者。「自分」はきちんとあるのだが、これは心などではなくて、眼球たる我。
眼球なりてのひらなり(触覚)、作者は1個の感覚器と化す。これまた俳句的愉楽の大きなひとつ。
ラヴ&ピース!
掲句は『街』第135号(2019年2月1日)より。
立春を過ぎても寒いですね。大寒波襲来の週末。
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