「影」という語にはいろいろな意味があって、かたち(shape)だったり日の当たらないところ(shadow)だったり。どの「影」なのかは、文脈によっていろいろです。
春昼や壁に広がる湯気の影 ふけとしこ
この「影」は、どちらの影だろう 、とちょっと考え、結果、shadowのほうが壁という平面には自然だし、湯気に日が当たって壁にできるかたち、と読んだほうが、おもしろいのではないか、という自分の結論に。
湯気というかたちの定まらないものにも、日が差せば影ができる。その淡い影もまた、かたちをとどめることなく、「壁に広がる」。
湯気に日の差すところを捉えた句は、はじめて読んだ。
ああ、春の気分です。
掲句は『なんぢや』第24号(2014年春)「招待席」より。
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