俳誌(結社誌)『街』に連載の今井聖「試行燦々 名句に学び無し、なんだこりゃこそ学びの宝庫」は、毎号、俳人ひとりを取り上げ、エピソード豊かに作家と作風を活写すると同時に、ごとにタイトルにもあるように「なんだこりゃ」句の博物誌の様相を呈するものです。
最新号(2015年2月)は和知喜八。
勤めいやな朝まつこうから燕の白 喜八
この句を「工場要員の、営業最前線の、泥まみれの二等兵の『本音』」と評する。
「会社、行きたくない」「もう帰りたい」といった愚痴は古今東西よく目にし耳にする。会社勤めと無縁な人にも、いまなら例えばツイッターのさえずり。「いやなら辞めればいいのに」とはいえ、日本人は勤勉。辞めたりしない。辞めないだろうから、こちらも安心して愚痴を受け止める。 ま、それはそれとして、「燕の白」は鮮烈。弧を描く飛翔を様子を「白」と腹の色を閃光のように読者に見せてくれる。勤勉ってたいせつですよ。これはもう100パーセント本気で。
掲句はかなりまっとうに思え、モンド度、ヘンテコ度は低い。「なんだこりゃ」までは行きませんが、今井聖さんの記事の途中には、そうとうヘンテコな句もきちんと挙げられています。例えば、
「喜八の大バカ!」田に熱くきき雪国星夜 喜八
餃子で一杯火が点いて翔ぶ俳句野郎 同
ううむ。ヘンテコな句はだいじです。
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