2015/12/03

■バイカル湖へ 『川柳カード』第10号を読みました

『川柳カード』第10号(2015年11月25日)。同人諸氏の作品10句ずつが並ぶなか、飯島章友「ほらここに」がおもしろかった。

上向きにすれば蛇口は夏の季語  飯島章友

ふだん俳句に親しんでいる者としては(あるいは、そうでなくとも)、納得感があります。景が思い浮かびやすい(例えばグラウンドの端っこに水道で運動のあとの喉を潤すの図。青春!)こともあり、わかりやすい句です。

わたくしの一指がまじる十二指腸  同

ハ行音まみれの二十二歳だな  同

ほらここにふらここがあるバイカル湖  同

指つながりとか、音つながり(ほらここ、ふらここ)とか、言葉遊び(いい意味です、常に。言葉を遊ぶのは常に、いいこと)の成分が強い。そこへもってきて、「バイカル湖」という有無を言わさずワケのわからない帰結がくっついています。快感ですね。

なお、

球根の寝息かすかな月明かり  同

…といったポエティックな句もあります。広レンジの10句。



この号では、暴力的でちょっと禍々しい材料に、コクのある諧謔と触感を含ませた次の2句もお気に入りです。

殺さない約束で逢うラヂオ塔  くんじろう

弾薬が泳いでいるよ和金だよ  榊陽子


加えて、表紙にもあるように「第三回川柳カード大会」のレポートも充実。

※『川柳カード』についての問い合わせ等は、以下のサイト。
http://senryucard.net/



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