2015/12/10

■鈴

六月に生まれて鈴をよく拾ふ  生駒大祐

私も六月生まれなのですが、だからと言って鈴をよく拾うわけではなくて、だいたいにして鈴がそんなに落ちているわけはないのだから、これはつまり、この世とは薄皮一枚を隔てた別の世界の出来事のようにも思え、いや、しかし、そんな人も、この世の現実にいるのかもしれない。

拾うとき、鈴の音が小さく鳴ったりして、そうなると、またもや、ちりんと、違う世界の出来事めいてくるのであります。

掲句は『オルガン』第2号(2015年7月30日)より。



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