こうした言葉は、原則的には、科学と正反対なものである。
しかし、当然のことだが、研究者も時には間違うこともある。それなのに科学の歴史や教育はずっと長いあいだ、科学者のおかす間違いをぜんぜん問題にしてこなかった。教科書では研究の成果は示されるが、それがどんなふうにして獲得されたかまでは伝えない。歴史物語は模範的な成功や成果や天才のことばかり語り、誤謬という、このちょっと胸のむかつく副産物にはまったく触れないか、触れることがあるとしても長いピンセットの先でつつくくらいだった。
ジャン=ピエール・ランタン『われ思う、故に、われ間違う 錯誤と創造性』1994(丸岡高弘訳/産業図書/1996年)
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