『連衆』第70号(2015年2月)より。
冷蔵庫枯野にあれば口開けて 谷口慎也
冷蔵庫句の私的コレクションに加えました。
野積みの廃棄物と読めば、わりあい現実的。それはそれで手堅い興趣。一方、強引に、現役の冷蔵庫がとつぜん枯野に在るような読みも、それはそれで鮮やか。枯野=冷蔵庫の見る幻視。わたちたちはそれ(冷蔵庫と枯野の関係)を私たちの幻視として味わう。
「口開けて」が、意外なほど絶大な効果のようにも。
試しに「冷蔵庫 枯野」で画像検索すると(≫こちら)、冷蔵庫も枯野もまるで姿を現しません。この組み合わせが日常の脈絡から離れたところにあることの証左とも解せます。そこ(日常との乖離)にこそ俳句があるというわけです。
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