猫はおしっこするとき、なんとも言えない表情をします。眼の焦点を合わせるでもなく、遠くを見るでもなく、なにかを思うでもなく、思わないでもなく。
放心というのが近いかもしれません。
尿も、心も、放つ、という感じか。
猫以外もきっとそうでしょう。けれども、ニンゲンを観察するわけにも行きません。ヘタすると犯罪。公衆トイレの男同士は他人の視線を少しは意識するので「その表情」にはなりません。
放尿の駱駝の瞼秋高し 藤田かをる
瞼が見えるのですから、閉じているか半眼か。ともかく、このときの駱駝の表情も、きっとなんとも言えないものでしょう。もともと哲学的な趣がありますから、よけい。
掲句は『舞』第55号(2014年新年特別号)より。
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