『儒艮』第10号(2015年2月)より。
原型を留めておりし蝸牛 曾根毅
コトバの一節はしばしば逆やら裏やら対偶を連想させる。だからそこには一瞬にして「原型を留めない蝸牛」の存在が浮かぶ。
それってどんな?
蝸牛の中身(それはナメクジではないらしい)の「原型の留めなさ」ならすぐに了解できるが、蝸牛のあの殻はどうなのだろう? いろいろと変化するものなのか?(色や柄なら変化しそうな趣がある) 硬いはずの殻が?
そうこうするうちに、殻の渦巻きがぐにゃぐにゃと変型しはじめる。
だが、気づくと、やはり蝸牛は「原型」から変わることなく、そこにいる。かくして、私たちの読みは、句の「原型」へと帰着するのです。
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