≫http://weekly-haiku.blogspot.jp/2017/08/10_58.html
夫婦喧嘩の連作なんて見たことないぞってこともあるのだけれど、その筆致。大雑把にいえば写実主義/自然主義の描写。これ、もちろん、ここに詠まれていることが「事実」「実話」かどうか、ではなくて、実話っぽく書かれているということ。
(俳句のリアルに関して重要なのは、事実かどうかの裏とりではなく、書きぶり・描き方、だと思っている)
夏痩せの妻と喧嘩や殴らねど 山口優夢
冒頭で連作の主旨を明示している点、行き届いている。父母を夫婦の参照としているところも効果的。
妻から指をつないで帰る墓参かな 同
おしろいや終はつても済んでない喧嘩 同
ラス前でハッピーエンド(収束)を言っておいて、ラスト「終はつても済んでない」と含みを持たせた構成も心憎い。
ところで、山口優夢には、新妻懐妊を詠んだ「戸をたたく」10句、第一子出産を詠んだ「春を呼ぶ」50句がある。
後者掲載号の後記で、私はこう書いた。
新婚生活を詠み(デレデレ)、お子を授かる喜びを詠む……。/とかく俳句世間には、吾子俳句、孫俳句が毛嫌いされる傾向があります。理由は例えば、そんなこと、こっち(読者)は知ったこっちゃない。/しかしながら、私は、そういう句(ついでにデレデレ句も含め)、アリと思っています。賛成派です。我が身に起こる出来事を句にすること、句にしたいと思うことは自然だし、それって、アリです。/ただし。/ただしです。/万万が一、例えば「離婚」というようなことに、このさきなったとき(仮にです。万万が一です)、そのときは「離婚」を詠んでいただきたい。そこを怠るようでは、俳人の名が泣きます。離婚詠はさておき、夫婦喧嘩もきっちり10句へまとめあげた山口優夢には、俳人としての(良い意味の)業(ごう)を感じざるを得ない。
ナイス!
0 件のコメント:
コメントを投稿