『川柳木馬』第155号(2018年1月)は巻頭の「作家群像」で、きゅういちを特集。自選60句(「影のSHOW」「影のSHOW」2篇より成る)を一読して思うのは、食べもの/飲みものにまつわる句の多さ。
そば屋、レモンソーダ水、スムージー、ハム、生牡蠣と、2句目から6句続けて登場。その後、角砂糖、マシュマロ、雲呑、秋刀魚、重湯、いんげん、焚く、卵白、ペペロンチーノ、牛乳、鯨ベーコン、煮戻す、ラーメン鉢。
60句中18句(30%)に飲食関連の素材が出てくるというのはかなり特異な傾向と見ていい。
ここでの飲食物はみな美味しそうではない。というより、おいしい・まずいという飲食の脈絡にはない。
角砂糖与えて姫を落ち着かす きゅういち(以下同)
サーカスの獣よろしく手なづけの道具であったり。
雲呑を握り人間界へ行く
天上界からの携帯物であったり(雲の字による関連付け、形象の連想)。
お七夜のキミはマシュマロしっぱなし
行為(マシュマロする!)そのものであったり。
ざっくりいえば(ざっくりはいつでも退屈な総括なのですが)、飲食という全人類が共有する日常は、その日常的脈絡から「はずす」「ずり落とす」のに格好の素材とも言えるのでしょう。
そして、ある品は、拒絶や不具合のサインとして、爆発的な映像ともなります。
牛乳を吹き出す近畿一円に
〔関連過去記事〕ことば崩し
http://sevendays-a-week.blogspot.jp/2014/11/blog-post_5.html
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