歩いたことないリカちゃんのふくらはぎ 八上桐子
脚だけのマネキン デモに行く明日 同
人形とマネキン。ふたつの欠損/欠落部分はたがいに異なる。欠け具合も異なる。けれども、擬=ヒトという点で、リカちゃんとマネキンに繋がりが生まれ、歩いたことがないので歩けそうにないリカちゃんにかわって、脚だけが電車に乗り、議事堂前へと、首相官邸前へと(時事に影響を受けた想像)歩いていく。
喪失というと、詩的な/文学的な/叙情的な湿度を帯びる。それはこの句集にはそぐわないので、欠損・欠落の語を用いた。
句集『hibi』はみごとにその種の湿度を免れた句集。そのせいにちがいない。前者に、感傷が希薄、後者に、メッセージ性が希薄。
加えるに、後者の「明日」の一語が醸す虚ろな感触。
欠損・欠落のモチーフと明日というものの不確定がもたらす軽さ、自由極まりない不安定が、なんだかとても気持ちいい。「デモ」という政治用語を用いて、これほど美しく軽い句をほかに知らない。
(ま、デモの句って、あんまり知らないんだけどね)
というわけで、『hibi』についてはもうすこししゃべりそうです。
ラヴ&ピース!
≫輝くほどに 八上桐子『hibi』より
http://sevendays-a-week.blogspot.jp/2018/03/hibi.html
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