飛行機を使えば、日本全国、日帰りができます。便利なことですが、仕事利用だと慌ただしいことです。
朝焼や空港へ田舎がつづく 佐藤文香
この句を国内線と思うのは「田舎」の2文字です。海外の空港と読めないこともないけれど、東南アジアやアメリカの地方空港を想像するのは、ちょっと無理があります。カッコつけすぎの読みですよね。
それにさ、朝だしね。
さて、この風景は作者にとって初めてのものではないでしょう。旅先の空港なら、行きでここを使った可能性が高いし(そのときは、空港から田舎が続いたわけです)、自宅から最寄りの(といってもさして近くないであろう)空港なら、何度か使っている可能性が高い。ともかく、何度目かの「田舎」です。
またあのときのように「田舎」を通り抜け、 どこかへ行く、あるいはどこかへ帰るんですね。
このときの「田舎」は親密な気分と、それとは反対の忌避や倦怠と、そのふたつがないまぜになった感じがあります。これこれこうという気分ではない。なんともいえぬ機微。
これは「田舎」という風景・概念・経験が「朝焼」と「空港」という舞台に置かれることで生まれる機微だと思うのですよ。
なんか舌足らずだけど、そんな感じ。ごめんよ。
掲句は『鏡』第14号(2014年10月)より。
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