やかんに水を入れて、火にかける。温度が上がり、やがて、やかんの底に気泡ができる。
その気泡の、最初のひとつぶは、どこにできるのか?
言い換えれば、水は、どこから沸き始めるのか?
答えは、傷のある箇所だそうです。どの本で読んだ話か忘れましたが、とにかく、そういうことらしい。まったいらでつるつるに見えるやかんの底にも、かならず微かな傷がある。そこに最初の泡ができる。
無花果の傷あるところより開く 土肥あき子
『絵空』第9号(2014年10月20日)より。
まだ固い無花果の実の微かな傷を端緒にして、ぱっくり開く。
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さて、やかんの泡の話に戻ります。
泡は傷から。それはわかった。では、傷も凹凸もまったくないやかんで(理論的には、そういう仮定は可能です)、均等に熱を加えていくと(理論的には、そういう仮定は可能です)、泡はどこに出来るのでしょう?
出来ない?
出来なければお湯は沸かない? いや、気泡なしで水温が100℃まで上がるのか? そんなことってあり得るのか?
あるいは、傷(差異)がまったくなくても、〈どこか〉に気泡が出来るのか? その〈どこか〉とはどこなのか? 偶然の〈どこか〉なのか?
ないアタマで、それを考え始めると、もうワケがわかならくて、とても気持ちよく、愉しいのですよ。
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