2014/09/03

■上京悲話【再】【転載】



『鏡』第2号(2011年10月1日)より転載。『鏡』(寺澤一雄発行)には創刊号と第2号のみ参加。不義理をいたしました(当時、私の中で「所属の断捨離」が流行っていた)。

「上京悲話」は「上京秘話」のほうがよかった、と、今になって思う。句集に収めるときは(いつの話だ?)「秘話」にしましょう。

八田木枯さんは、まだご存命で、この号には、「六十六年目の夏」14句。

  昼寝して夜は夜でねむることかなし

  老年が蝶の鬱金をなぶりをる

ほかがある。

そうそう、木枯さんがあるとき「性病院」で連作を作りたいと、本気なのか冗談なのか、おっしゃった。千駄ヶ谷にある赤い大きな看板文字「性病科中央医院」に触発されての思いつきだったらしい。「それ、週刊俳句にください」とお願いしたところ、「そんなん載せたら、『木枯のやつ、アタマおかしなったんちゃうか』と言われる」とかわされてしまい、木枯さんからは、なかなか「性病院」俳句が出てこなかった。それでというわけでもないのだが、フライングのように安易に作ってしまったのが7句目。

なお、12句目の「紐」が「鞭」に変わり季節が変わり、「走れ変態」中の一句となった。

それにしても、木枯さんが在籍した同人誌で、俳句はまあ自分の俳句しか書けないからしかたがないとしても、下段に、こういう日記風のだらだらしたメモ。これもまあしかたがない、と諦めることにする。人生は諦めの連続ですな。

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