2018/02/13

■『川柳ねじまき#4』を読んだ

この雨は私に降った雨じゃない  米山明日歌

突き抜け感があります。

雨をネガティブに捉えると、雨という災禍は私じゃない他人に降ったものということになり、雨をポジティブに捉えると、この雨は、私への恩恵ではない。

雨さん「じゃあ、どうしろと?」

「私のためだけに降れよ、雨」てなことで、ものすごい要求というか命令というか。

雨をどう捉えようが、燦然と「私」が輝く。いい意味で尊大。その意味での「突き抜け感」。

この句、ほんと、好き。

掲句は『川柳ねじまき#4』(2018年1月15日)より。ほか、同人諸氏それぞれの20句より1句ずつ。

ここ押せばひかる東芝ひかる枇杷  なかはられいこ

承知しました地球と気球  二村典子

ペンギンが出てくる違う君じゃない  猫田千恵子

透けそうな林透けないバーコード  早川柚香

昔から浅丘ルリ子三つ上  丸山進

気遣いの境界線の液状化  三好光明

鳥が首かしげ鯨が裏返る  八上桐子

理科室の中にもあった赤鳥居  青砥和子

竹皮を付けたまんまの高笑い  安藤なみ

満月は薄荷の味と知る頁  魚澄秋来

サンクトペテルブルク的梅雨晴れ間  犬山高木

なめらかなうどんとそうではない月  妹尾凛

アルカリか酸性なのか河馬の舌  中川喜代子

水滴がふくらむ電話口の父  瀧村小奈生


こう並べていくと、分の好みや考え方がなんとなく見えてきます。叙情にせよ諧謔にせよ不思議にせよ、句のなかの「私」や事物がのびのびしている句が好き(川柳・俳句とも)。一方、理屈っぽい句はダメぽ(唐突に「ぽ」)。

楽しませていただきました。

ラヴ&ピース!


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