2018/02/02

■冒頭集:宝島

郷士のトレローニさん、医者のリブシー先生、そのほかの紳士たちが、ぼくに、宝島のことをすっかりくわしく初めから終わりまで、ただし、まだ掘りおこした宝もそこにあるのだから、島の位置だけはかくして、それ以外はすべて書きとどめておくようにといわれた。いまペンをとっているのはキリスト紀元一七--だが、この話は、ぼくの父が「ベンボー提督亭」という宿屋をひらいていたころまでさかのぼって、そこへ、日焼けした、刀傷のある、年とった船乗りがあらわれて、泊まりこむことになったときからはじめることになる。
スティーブンスン『宝島』1881:阿部知二訳/岩波書店/1967年

0 件のコメント: