蓮の香や天より戻す指の先 同
『円錐』第76号(2018年2月15日)掲載の今泉康弘「誰も目覚めてはならぬ」12句の冒頭に置かれた2句。
前者は言うまでもなく、《ある程の菊投げ入れよ棺の中 夏目漱石》が下敷き。その直後を詠んだような一句。
その構成と音に呼応した2句目は、蓮と天の照応(伝統的で安定した照応)のなかで、「指の先」が美しく幻想的。
プレテキストから出発して、素晴らしい変奏へ。こういうセット、ほんと愉しい。
草色の雲ありてすぐ枯れてゆく 同
この句も美しい。
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