はまぐり(蜃)の吐く息(気)が楼閣を為す、という説は魅力的です。「蜃」を巨大なハマグリとする説と竜の一種とする説があるようですが、だんぜん前者を支持したい。竜は実際に見たことがないし、酒蒸しにもできない。それに絵的にね。はまぐりはぴしっとキマる。
星老いる日の大蛤を生みぬ 三枝桂子
「生む」は女性が産むと解したい。蜃気楼を生み出す大蛤を産んだ女性は蜃気楼の祖母ということになるのか。スケールの大きな太母(grandmother)像 ? このへん、句意をどう解するかの難しさもあるが、いずれにせよ巨大な時空を感じさせる句。
掲句は『LOTUS』第28号(2014年8月)より。
同じ作者に、
女だてらに緑蔭に限りを尽す 同
こちらは伝法な人物像。
俳句作者=作中作者にあえて「女性」を見ることも、自分としては「愉快ならば良し」といういいかげんな態度です。 ごめんね。
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