2017/10/16

■雨

よく降りますね。

高きより雨落ちはじむ桐の花  飴山實

きのう若い俳人の口から飴山實の名が出たので引いてみました。

ラヴ&ピース!


2017/10/13

■アイロンのこと星のこと

アイロンの胎内に水春の星  柴田千晶

たしかに水が入っている(入ってないのもあるよ、もちろん)。「胎内」の語で鉄の塊に性が宿る。「春の星」との照応は垂直。構図としてめずらしいものではなく、意図の明瞭さをきらう向きもあろうが、水がやがて水蒸気となり、その一部は空気中へ、空へと、霧消することを思えば、この垂直性は多声的。

それよりも、この湿度。春の星は、四季を通じて最も濡れていそうなのだ。

掲句は『hotel 第2章』第40号(2017年5月10日)より。



ところで、擬人法とアニミズムはときとして似ている。

作句作法上、忌避あるいは慎重を要請される擬人法。特定の句において称揚の脈絡で用いられるアニミズム。その境界は、それほど明確ではない。

アイロンに命が宿る/が命を宿す、という把握は、擬人法なのかアニミズムなのか、といった判断に、おそらくそれほどの意義はない。

擬人法だからダメ、アニミズムだからオッケー、といったオートマチックな判断二分法って、つまんないよね。

ラヴ&ピース!

2017/10/11

■業界最小最軽量「はがきハイク」発送

第17号をお届けしています。

ご興味のある方は、tenki.saibara@gmail.com までお知らせください。すぐにお送りします。

送り漏れも多々。「あれ? 届かない」という方も上記メールアドレスまで。

なお、はがき全体の画像をインターネット/SNSにアップするのはご遠慮ください。なにしろ小さいので全文転載になっちまいます。

2017/10/10

■二円切手 『川柳木馬』第152号の一句

二円切手肩甲骨へ貼ってある  萩原良子

切手代にはじめて半端が生まれたのは1989年4月。消費税3%が導入されて、ハガキが40円から41円へ、封筒が60円から62円へ値上げ。41円切手、62円切手が登場した。以降、切手代は60円ぴったりだとか62円だとか82円だとか、変転を繰り返す。古い切手も手元に残っているので、1円切手、2円切手が活躍する場面が増えた。

掲句、肩甲骨という位置が絶妙で、その斜め上具合(位置の話です)が、それほど突拍子ないものでもなく(実は突拍子ないのですが)、貼る位置として正しいような気になってきます(錯覚です)。

もっとも二円だけではどこにも行けないわけですが。

掲句は『川柳木馬』第152号(2017年4月)より。


2017/10/08

■リアル夫婦喧嘩 山口優夢「殴らねど」10句がナイス

山口優夢「殴らねど」10句(週刊俳句・第539号・2017年8月20日)がとてもいい。

http://weekly-haiku.blogspot.jp/2017/08/10_58.html

夫婦喧嘩の連作なんて見たことないぞってこともあるのだけれど、その筆致。大雑把にいえば写実主義/自然主義の描写。これ、もちろん、ここに詠まれていることが「事実」「実話」かどうか、ではなくて、実話っぽく書かれているということ。

(俳句のリアルに関して重要なのは、事実かどうかの裏とりではなく、書きぶり・描き方、だと思っている)

夏痩せの妻と喧嘩や殴らねど  山口優夢

冒頭で連作の主旨を明示している点、行き届いている。父母を夫婦の参照としているところも効果的。

妻から指をつないで帰る墓参かな  同

おしろいや終はつても済んでない喧嘩  同

ラス前でハッピーエンド(収束)を言っておいて、ラスト「終はつても済んでない」と含みを持たせた構成も心憎い。


ところで、山口優夢には、新妻懐妊を詠んだ「戸をたたく」10句、第一子出産を詠んだ「春を呼ぶ」50句がある。

後者掲載号の後記で、私はこう書いた。
新婚生活を詠み(デレデレ)、お子を授かる喜びを詠む……。/とかく俳句世間には、吾子俳句、孫俳句が毛嫌いされる傾向があります。理由は例えば、そんなこと、こっち(読者)は知ったこっちゃない。/しかしながら、私は、そういう句(ついでにデレデレ句も含め)、アリと思っています。賛成派です。我が身に起こる出来事を句にすること、句にしたいと思うことは自然だし、それって、アリです。/ただし。/ただしです。/万万が一、例えば「離婚」というようなことに、このさきなったとき(仮にです。万万が一です)、そのときは「離婚」を詠んでいただきたい。そこを怠るようでは、俳人の名が泣きます。
離婚詠はさておき、夫婦喧嘩もきっちり10句へまとめあげた山口優夢には、俳人としての(良い意味の)業(ごう)を感じざるを得ない。

ナイス!