2021/07/17

■そこから見える景色 『奎』第18号より

ふらここにゐるをすつかり忘れをり  小池康生

ぶらんこに腰かけて何か(特別なこと)をしているわけではないのだろう。それなら、むしろ、「ふらここにゐる」ことを強く意識するだろうから。つまり、

 鞦韆に腰かけて読む手紙かな  星野立子

こんなふうに。

だから、そこがどこかを忘れて、することといえば、なんとなく、ぼおぉっと景色を眺めるとか、そんなこと。

特別の景色ではない。ぶらんこが設置されているあたりにいわゆる「大自然」なんかないだろうし、電線が見え、団地とかが見えちゃって、せいぜい遠くに見慣れた山並みが見える程度。毎日、どこでも目にできるような景色なんだと思います。

ラヴ&ピース!

掲句は『奎』第18号(2021年6月)より。


2021/07/15

■6年前、7月の国立競技場


 この頃は、世の中がこんなことになろうとは、誰も想像できなかったはず。


ラヴ&ピース!

って言ってる場合じゃないけど。

2021/07/09

■雉子と蛇

昨日に引き続き、『円錐』第89号(2021年4月)を読んでいると、

蛇食ふと聞けばおそろし雉子の声  松尾芭蕉

この空を蛇ひつさげて雉子飛ぶと  高野素十

…の2句。それぞれ別の記事にあって、ふうん、どっちも伝聞なんだな、と。

で、ちょっと調べてみると、葛飾北斎にあるんですね。

https://images.dnpartcom.jp/ia/workDetail?id=RMN00022331

2021/07/08

■航海

水仙の風で航海してをりぬ  糸 大八

すがすがしくて、おおらか。景色が広くて、深い。

この季節ではないですが、『円錐』第89号(2021年4月)で知った句。

2021/07/07

■またまた過去のこの日(七夕)

郷里では七夕は8月。ま、それはそれとして、×年前のこの日・企画は、安易とはいえ、なんだかおもしろい。過去を振り返るようになったら、人間、おしまいですが、おしまい上等。余生の先のオマケですので。

じゃあ、例によって、フェイスブックが教えてくれる過去のこの日、7月7日。

8年前のこの日

ものすごく久しぶりのメール句会に参加したところ、投句一覧のメールのアタマに「万事大人の対応にてお願いします」とある。何があったんだ?www 怖えぇよ。
どのメール句会なのか、まったく思い出せません。今でも続けているのもあるが、「久しぶり」とあるので、それとは違う。

映画『A』(森達也監督/1998年)、『A2』(同/2001年)をDVDで観る。

オウム真理教信者たち(事件後)を追ったドキュメンタリー。『A』は荒木広報副部長中心、『A2』は当時各地で起きた住民反対運動が中心。後者は99年・オウム新法(無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律)の前後となる。

興味深く最後まで観た。自分にとっての謎や疑問が解けたわけではないが、テレビ・新聞・週刊誌とはまったく別の視点(このドキュメンタリのカメラ)が見ている風景は、少なくともマスコミが伝えるものよりもはるかに事実の感触があり、ジャーナリスティックでもある。

ひとつ衝撃的なのは、警察、マスコミ、地域住民がそれぞれ醜態を晒すところ。人間て、こんなに醜いものなんだなあ(正確に言えば、こんなに醜くなれるものなのだなあ)と、これはいまさらながら衝撃的な実感。オウムに関わると、醜悪さが滲み出るということか。それこそがオウムの醜悪さであり根深さなのだろう。

このところ聞きませんね、オウム。

【7年前のこの日

入谷の朝顔市へ。洋食屋よしむら。今は少なくなったコロラドでコーヒー。この間ひとり散歩。根岸・西念寺での句会へ。二次会(錦華楼)。三次会(呑兵衛)。

異成分から成る句会(さまざまな出自・さまざまな所属の人が参加する句会)は、ひゃあ! おもしろい! 特に二次会以降。皆様、お疲れさまでした。 

7年前ですでに、吟行じゃなく「ひとり散歩」に切り替えていたのですね。協調性のないことで、どーも、すみません。

4年前のこの日

嫁はんの検査(4月の腸炎での入院後、定期的にやってるのの、今回がメイン。はじめてのカメラ。これまでは炎症後なので出来なかったらしい)は朝から夕方まで一日仕事。
結論からいえば、順調。悪いものは見つからなかった。ひと安心。

安心すると、人って、おもいっきりハグしますね(のろけてるんじゃないぞ、言っとくが)。

諸々の検査のあと、問診だったそう。

担当医「なにか不調は?」
嫁はん「さいきん胃がシャワシャワするんです」
担当医「??? シャワシャワ?」
嫁はん「はい。シャワシャワ」
担当医「どういうことかな?」
嫁はん「だから、シャワシャワ」

そのあと、医者が笑いが止まらなくて、問診が終了したそうな。

アタマのいい人は、感覚で理解してくれなくて困る、と、嫁はん、不満げ。

嫁はんネタ、この頃、多かったのかも。

3年前のこの日

私の頭、バリカンで刈れるかどうか、嫁はんがかかりつけの美容師さんに訊いたところ、大丈夫ですよ、ということで、やり方を聞いてきた。

まずは髪を留めるとこから始まるのですが、嫁はん「んんん、どこで留めるんだろう? よくわからん」。

え、わからない? じゃあやめといたほうがいいのでは?

うちの嫁はんは、よく言えば思い切りがいい、悪くいえば平気で無茶をやる。

「ここでいい……んだと思う」

ジョリジョリジョリジョリ。思い切りよく刈り込んでくれましたよ。

3年間、バリカンで通してますね。ときどきは美容院へ行っていまうが、きほん、プロ(美容師さん)に触ってもらうほどのアタマではない。ホーム・バリカンで充分。

【1年前のこの日

肉じゃが。茄子と獅子唐の油炊き。このうち茄子、獅子唐、ジャガイモが畑でとれた。ありがたや。

なお、前者は嫁はんが、後者は私が調理。ラヴ&ピース!


茄子にの油炊きは、このあいだ作ったばかり。奇遇、というよりも、季節って、そういうものなのですね。

色は悪いですが、おいしいんですよ。京都風(茄子の炊いたん)は油を使わないのかな? 郷里でよく食べたのはこの油炊き。エビジャコ(瀬戸内ではよく使いますが、こっちでは見ないです)が味の決め手なんですが、入手が難しいので(乾燥エビを戻して使う手もある。でも中華の安価なやつだと味が今ひとつ)、エビジャコ無しで行きます。それはそれであっさり仕上がります。このあいだのは鷹の爪をちょこっと入れて、ほんのりピリっとさせました。

なんだかんだ言ってますが、要は、夏は茄子。

繰り返しますが、ラヴ&ピース!

2021/07/05

■スティーリー・ダンのデューク・エリントン・カヴァー

今週の【音楽千夜一夜】は中村安伸さんをゲストに迎えています。

スティーリー・ダンの話が出てきます(ドナルド・フェイゲンだから当然です)。私が最初に買ったのは1枚目じゃなくて3枚目の「プリッツェル・ロジック」。紙ジャケのビニールレコード。CD登場以前ですから当然。

たいそう好いたアルバムですが、なかでも一番のお気に入りは、ちょっと変則で、このインスト曲。


ロックバンドがデューク・エリントンの曲をカヴァーするなんて、当時は、驚くべきこと。…のはずですが、まだ二十歳かそこらで、ジャズの知識・素養がありませんでした。オリジナルを知らず、ただ、「おお! マイナー(短調)なのに、メロディが愉快に笑ってる!」と、ひとり盛り上がりました。

オリジナル録音のトランペットによる主旋律ワウワウミュートを、ギターのワウで再現してます。

ちなみに、この「プリッツェル・ロジック」という可愛らしくも知的なアルバム・タイトル、邦盤では邦題「さわやか革命」だったことを最近知り、自分がレコードやCDをもっぱら輸入盤でしか買わなかったこと、正解だったと、つくづく。

邦題って、ジャンルによらず、ろくなことをしてこなかったです。

ファック・ユー。

2021/07/04

■かくかくかく、ご・ご・ご 『ぶるうまりん』第42号より

三角四角互角誤解の語音  東儀光江

「かく」で展開して、後半は「ご」へと転換。三、四ときて、五ではなく、互角に行ったのが、転換の契機。

いわゆる句意というものはなくて、読者の感情・感傷に訴える句でもない。ついでにいえば、季語は見つからない。

句意やら描写の趣向やらリリシズムに飽き飽きすることは、ふだん俳句(や川柳)に接していると、しばしば起きるので、こういう句は(私にとって)必要。


ちなみに、私は、俳句でも川柳でも短歌でも連句でも、他人様の句でも、自分の句でも、《音》を読みます。

実際に声に出すことはしなくても、アタマの中で声に出す。この句も「さんかく……ごおん」とぜんぶ音にして飲み込む。まあ、みんなそうしてるとは思うのですが、たまに、この人、目でしか読んでないのでは? と思うことがあるので。

掲句は『ぶるうまりん』第42号(2021年6月26日)より。



2021/07/03

■時節柄、河童

ときどきお邪魔している尻子玉句会が、BSの民放番組で取り上げられるというので録画しておいて、それを視聴。主宰の近姐さんの堂々たる応答ぶりに感心しつつ、「いろいろな句会がある」という番組の脈絡に、妄想を旨とする当句会は、どうなの? いいの? こんなんで、と。

(尻子玉と聞いて番組進行役の人たちが死体みたいな表情になっちゃうとこがとても印象的なひとときでした)。

そうこうするうち、というか、以上とはまったく無関係に私的な生活のひとこまとして、町田康の掌編小説集『テースト・オブ・苦虫1』を読んでいたら、「かっぱ」の3文字が、なんだこれ? という使われ方をしていて、ちょっと度肝を、もとい尻子玉を抜かれたわけです。


河童つながり。

ついでに、まえにつくった河童連作「流体力学」のリンクを貼っておきます。

7年も前なんですね。ずうっとバカやってきたわけです。

ラヴ&ピース!

2021/07/02

■帰途の…

…カーラジオ。https://youtu.be/CDt14uZDfTo から https://youtu.be/7ICwedaEzz8 への並びがとても気持ちよかったので、いい夜だ。

雨がよく降る。この日の昼間、雨の間隙をついて自転車で散髪へ。さっぱりする。

歩いたり漕いだりアクセルを踏んだり。

動くことはたのしい。

とりあえず動いていれば、なんとかなる。(なにが?)

ラヴ&ピース!