2021/09/28

■ラーメン的な宇宙の組成

ラーメンに乗って助けに参ります  榊陽子

って句なんですが、ラーメン、乗りにくそう。出来上がりの前でも後でも。

よしんば(生まれてはじめて使った「よしんば」)乗れても、あんまり助けになりそうにない。

二重三重幾重にも、この人、情けない。それはつまり、素晴らしい! ということなのですが。

ラヴ&ピース!

掲句は榊陽子『虫だった4』より。

2021/09/19

■捻れた梯子 『LOTUS』第48号より

春ふかく梯子捩れしままつづく  三枝桂子

捩れるのだから縄梯子なのだろう。かなり長いやつ。

と、これは現実の景。

それとは別に、DNA構造を連想するので、そうなると、「ふかく」という時間を示す語が、さらにもっと大きな時間も連想させ、「つづく」の語もまた、モノばかりではなく、時間へとイメージが連結される。

具体的で即物的な景と同時にモデルや概念の像が、読者の目前に展示される。

掲句は『LOTUS』第48号(2021年8月)より。

2021/09/18

■水中花的睡眠

一身を眠りに委ね水中花  花谷清

眠るということ、ひとつとっても、いろんな言い方・表現があるんだなあ、と。このかんじの眠り。ほかでもない、このかんじの眠り方ってありますよね。

水中花は、まさに、この眠りに寄り添う/背景となる/演出するに最適な季語に思えます。

ラヴ&ピース!

ところで、俳句では大人気の水中花。いま、リアルに目にすることはほとんどありませんが、いろいろと売ってるようです

掲句は『藍』第563号(2021年9月号)より。

2021/09/17

2021/09/15

■葉やら花やら 『静かな場所』第27号より

からみたる花もろともに草取りぬ  藤本夕衣

花を抜くのはどんな花でも心理的抵抗がある。美醜の問題(つまり花は美しかったり可憐であったりする。一般に。葉や茎と比べて)ばかりではなく、花をつけ、品種によってはやがて実をつけるという過程を思う(つまり、比喩へも繋がる開花、結実)からかもしれない。

けれども、いちいち花を選り分けて、というわけにもいかず、「もろともに」引き抜くことになる。花摘みを楽しんでいるわけではなく、草むしりをやっているのだ。

引き抜く瞬間を詠んだ句ですが、その一瞬前の逡巡にようなものが読み取れます。

ラヴ&ピース!

掲句は『静かな場所』第27号(2021年9月15日)より。

2021/09/12

■壁時計

時計が壊れたので、IKEAに買いにゆく。デザイン的に、これ、いいね、と、値段を見ると、249円。

え? にひゃくよんじゅうきゅうえん?

ここに来るとときどき感覚がおかしくなる。