2023/12/30

■川柳と俳句@自分事情

年末らしい話題、というわけではないのだけれど、このあいだ、ふと思ったことを。

私は、わりあい長いこと、俳句の近くに身を置いているのだけれど、短詩という同じジャンルにある川柳も、たまに読む。読むだけでなく、それについて書いたりする。ウラハイの「金曜日の川柳」で樋口由紀子さんの公休日(第一金曜日)に代打したり、なぜか依頼があって川柳作家・八上桐子さんの作品について川柳雑誌に寄稿したり。

川柳について書く。俳句について書く。頻度はちがってもどちらもやる。でも、このふたつには決定的なちがいがある。そのことに、このあいだ、ふと思い当たったのだ。

それはつまり、川柳をつくるノウハウについて、私は、これっぽちも持ち合わせていないという点。

俳句については、程度や質は置くとして、なんらかのノウハウを知っている。理解している。否、信じるところがあるという言い方が、いちばんしっくりくる。ところが、川柳については、まるっきり。

「入門書を読んでみれば?」「川柳教室に通えば?」といった声があるかもしれないが、いや、川柳のノウハウを学びたいと言ってるんじゃないんですよ。俳句と川柳における、自分の中の決定的な違いを、いまさらのように気づいたという雑談? 自分以外、関心がないであろう閑話(ひまばなし)。

でもね、川柳について書くとき、このノウハウ皆無状態は、良い面もあると思っている。確信じゃないけど。

だって、俳句について書くとき・語るとき、ときとして作句ノウハウが邪魔になったりする。俳句について書くこと・語ることは、評価や審査じゃないので。評価や選句は句会でやればすむことでね。

そんなこんなで、川柳をどうつくればいいのか、皆目わからない状態のまま、ひとさまの川柳作品を快楽しつづけるつもりなので。


では、良いお年を!

年末年始、私は、うれいしいことに労働に勤しみます。正月をだらっと過ごすのは好きではないので(ふだんだらっと過ごすのは大好き)、正直、「うれしいことに」なのです。

2023/12/25

■赤と緑

24日は句会。

途中、ぴんぽん、と鳴って、ドアをあけると、お向かいさんが庭で摘んだ花と葉っぱ・クリスマス仕様(写真・上)。

句会後は、パエリアその他。




■週俳の【句集を読む】とか冬菜とか

週刊俳句・第870号で、【句集を読む】を6本、書いております。
https://weekly-haiku.blogspot.com/2023/12/87020231224.html

溜まってしまった宿題の一部をなんとか年内に、というかんじです。

あ、そうそう。この句に触れるのを忘れていました。

じんわりと温む背中や冬菜畑  半澤登喜惠

これ、畑仕事の実感。

2023/12/23

■泣茸 『閏』第18号より

泣茸も在るべし笑茸在れば  守屋明俊

『閏』第18号(2023年12月1日)より。

《在るべし》は、推量(在るんだろうなあ)か命令(在れよ)か、迷うところ。

ふたつを混ぜて(そんなこと、許されるのかどうか知らないが)、「在るんだよな」と解したいところ。

泣茸も在るんだよな? 笑茸があるんだから。

ところで、ワライタケの Wikipedia には「(…)採取したキノコを汁に入れて食べたところ、妻が裸で踊るやら、三味線を弾きだしたやら」など、ファンキーな解説。

掲句は、実在のワライタケから、(おそらく)実在はしない泣茸に思いを馳せた軽妙な句と読めるいっぽう、しんみりと、つまり、泣きたいことがあるのに泣けない状況を詠んだとも読め、ここもまた迷うところ。きっと、違うときに読めば、印象が変わりそう。



2023/12/19

■せめて栞になる大きさ 『牧』第16号の一句

長き夜の本をこぼれし正誤表  仲寒蟬

正誤表の紙片はとても小さい。ないに越したことはないのだが、付さざるを得ない、といった発行者/著者の心持ちを体現するかのように、とても小さく、意匠もない。

だから、ページを開くとき、こぼれてしまうのだが(たいていは見返しあたりに挾んである)、もうすこし大きければ、栞代わりになるのに、と思ったりする。

とはいえ、むこうからしたら、いつもいつも見られるのはかなわない、といったところだろう。

「長き夜」の書物関係への配合・斡旋は安定的で手堅すぎるようにも思うが、そこはそれ、こぼれて落ちた場所は、夜の底なのだからして、焦点は定まる。

掲句は『牧』第16号(2023年12月1日)より。

2023/12/09

【句集をつくる】番外編 奇妙な連作

 

『みしみし』第9号(2021年夏至)掲載。

人名短歌との組み合わせは、2015年にもやっている。このふたつは、手を加えて掲載の予定。

へんてこな部分、奇妙な箇所がたくさんある句集にしたい。

2023/12/07

【句集をつくる】番外編 連作×n




『みしみし』第4号(2020年節分)掲載の「眼科」10句。3年半前。もっと前のような気もする。

こんど作る句集は、連作の集合。これはだいぶ前に決めた。

上のような10句ひとかたまりが単位になるが、この「眼科」は、連作っぽさが希薄なので(また、既存をそのままでは、句集を編む愉しさが半減なので)、ばらして使うか、何句か入れ替えるかする。

2023/12/05

【句集をつくる】第28回 とりあえず編む

前回・第27回から1年半近くが過ぎちゃったけど、これ、第28回。

ちょっと整理してみようと思います(いまさら? こんなにひさしぶりなのに?)

句集をつくる/出すメリット(言い換えればモチベーション)。

1 編むのが愉しい。これに尽きる。前回(12年以上前に『けむり』という句集を出してるのです)、作っているあいだは愉しく、出たら、そうでもない(もちろん、いろいろな方からの反響はうれしかったのですが、きっと社交辞令もあるんだろう、と)。

句集を出すまでの障壁。

1 費用。これは小さくはないけれど、まあ、どうにかならないわけではない(家族会議。きっと数秒か数分で終わる)。

2 誰が読みたい?

これが大きい。

通常、句集は、紙の本になって、「謹呈」として知人に送ったり、若干は書店やamazonで捌けたりするのですが、「読みたい人」の数が、まったく見当がつかない。

ゼロではない気がするが、一桁か、あるいはもう少したくさんか。まちがっても三桁には行かないだろうから、紙の本(最低でも数百部)ではムダが多い(その時点で、私もあちらも互いに知らない未知どうしの潜在的読者はいるだろうが)。


で、ちょっと考えて、配本については棚に上げておいて、「とりあえず作る」という作業を始めてみようか、という結論に達しました。

なお、出来上がってから、紙にはせず、希望する人にPDFを送る、ということでもいいしね。それなら、費用はほとんどかからず、「希望しないのに手元に届けられる」人を生み出すこともない。

ちょっとだけ、考えが前進したので、音楽でも聞きましょう。

2023/12/01

■芝へ 稲畑汀子俳句集成読書会

「なんでまた、この私に?」という依頼(俳句関係)がたまにあって、それが、このところ続いております。「稲畑汀子俳句集成読書会」イベントへの参加もそのひとつ。
12/3(日)に芝までで出かけてきます。配信による視聴(無料)があるみたいです(ご案内へのリンクはツイートの下のほう)。

2023/11/26

■旅する句会・人と会う愉快

某週末。大阪での「音数歳時記」句会から、名古屋での川柳ねじまきの句会へ。いろいろな方にお会いできて、愉しかった。

西国分寺→東京→新大阪→大阪 梅田→岡本 摂津本山→新大阪→名古屋→金山 金山→名古屋→東京→西国分寺(ただいま~)

何年かぶりに弟夫婦にも会えたし、実りの多い旅でした。

句会後の飲み屋は両日合わせて4軒。コロナ/インフルエンザを心配しましたが、帰宅後もいたって元気。



2023/11/21

■旅するバンド・合奏の愉快

某週末。yuki氏が出張で、ひとりのんびり過ごす。

津原泰水『ブラバン』があまりに良かったので、音楽映画を見たくなり、配信サイトをぶらぶら見てまわり、これにしようかな?ってなかんじで、『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』(アキ・カウリスマキ監督/1989年)を観る。

この監督、評判は聞くものの、なんと、観るの、初めて。

ありゃま、良いっす。

映画、たのしい。オフビートってゆうの? 出演もしてるジム・ジャームッシュっぽくもある。地域的(欧州のまんなかじゃない)なものか、劇中音楽からくるものか、エミール・クストリッツァっぽくもある(と思ったよ。よくわかってないけど)。

このバンドが奏でる音楽はヴァラエティ豊かで、祝祭的。

ジャンルは違っても、音の風合いは違っても、つまり別の経路を通っても、結局、祝祭的な浄化に至る音楽が、私は好きみたいです。



■出会い、なおせる? 『Pegazine 04』の一句

川と川なんどでも出会いなおせる  八上桐子

川って、そんなものなのだろうか? 合流して、支流となって、また合流して。

あついは、俳句における「切れ」をこの句の読みに用いて、《川と川/なんどでも出会いなおせる》、つまり、「なんどでも出会いなおせる」は川ではなくて、例えば私たち(人と人)のことである(けれども、そこで切れたとしても、川のイメージは句の最後までついてまわるのだけれど)。

ところで、私は、この点について悲観的で、「出会いなおせる」とは、あまり思っていない。小さな失敗や軽い摩擦が尾を引く。んんん、なかなかに悲しい。

でも、「なんどでも出会いなおせる」と言ってもらうと、そういえば、もう一度会ったとき、前とは違う感じの時間が過ごせたりするような気もする。いや、同じ感じに、というのが、そもそも難しいそ、などと、考えがもう一方に振れたりする。

ああ、しかし、こんなことをうじうじ考えていること自体、ダメだ、意味ない! 川を見に行ったほうが、ずいぶんとマシだ、と、いま、自転車を乗ろうとしているところです。

掲句は『Pegazine 04』(2023年10月14日)より。

2023/11/17

■音数歳時記・句会、巡業中

荻窪での「音数歳時記・句会」、無事終了。


たくさんの人と初めてお目にかかり、たいへん楽しうございました。ふだんあまり人と会わない暮らしなので、よけいに。

ところで『音数で引く俳句歳時記』は、長生き語、もとい長い季語をむりやりもってくるのも一興。

 虹蔵(かく)れて見えず荻窪恋ヶ窪 10key

で、明日は、大阪へ。

切符、買ってあるぞ(威張ることではない)。初めての方々もよく知っている仲良しの方々も、どちらいらっしゃるそうだから、いまから楽しみ。きょうは畑も雨降って嬉しいだろう。で、列車で読む本をただいま物色中。


≫『音数で引く俳句歳時記・冬+新年』≫amazon


2023/11/02

■「音数歳時記」活用句会 in 荻窪 のご案内

日時:2023年1116日(木)19:00
場所:
屋根裏バル 鱗kokera
 https://twitter.com/kokera07839729
句会費:1,500円(カレー&烏龍茶付)

『音数で引く俳句歳時記・冬+新年』(岸本尚毅監修・西原天気編/草思社)を片手に、席題を作句する句会です(その後の選句・合評は通常の句会と同様)。はじめに簡単に本の紹介をします。
上記歳時記を持参されない方には、句会場にて、定価の約7割(学生さん5割)で頒布いたします。

申込は店主の茶鳥さんまで nomurakaori.ad@gmail.com

≫『音数で引く俳句歳時記・冬+新年』≫amazon

2023/11/01

■某某日記:2023年秋

時系列無視。

某日、胸が痛み(比喩ではなく)、こらえきれなくなって近所のかかりつけ医に。簡単な検査のあと、夜になってまた痛むようなら救急車を、と、怖いことを言われる(その日は土曜日でありました)。果たして、痛みがぶり返す。だが、119ではどこに放り込まれるかわからない。yuki氏がふだん定期的に受診している心臓関係の病院に話をつけてくれ、受診。心膜炎の診断で即入院。生まれて初めての入院は3泊4日となり、無事退院。ただし入院中も心身ともに元気。

某日。せっかくなので(ヘンな日本語)、初めての病床俳句7句を某結社師誌に投句。なお、某結社誌には『音数で引く歳時記』の広告を載せてもらった恩義から1年間誌友に。

某日、区画借りの家庭菜園に赤玉葱を植える(百数十本)。大根はすくすく育ち、間引き。間引菜は刻んで塩で揉む。塩昆布と混ぜて醤油をひと垂らし。ごはんと一緒に食すれば、ああ、なんという美味。

某日、練馬区江古田でのライブ。なんだか愉しく6曲。約33分の模様はこちら google drive

某日、某俳句雑誌への寄稿(俳句をたくさん)の校正がPDFで届く。字の大きさにびびる/気恥ずかしい。といっても、俳句というのは印刷されるとき、だいたいは大きな級数なので、いまさらではある。でも、おっきいね、俳句の字って。

もし、こんど句集を出すとしたら、1頁6句組で小さめの級数にすると思う。

某日、『音数で引く俳句歳時記・冬+新年』出来(amazon)。これで四季が揃う。長いような短いような制作期間1年間。ごくろうさんエクセル。

2023/10/28

■「音数歳時記」活用句会 in 大阪 のご案内

『音数で引く俳句歳時記・冬+新年』(岸本尚毅監修・西原天気編/草思社)を片手に、席題を作句する句会です(その後の選句・合評は通常の句会と同様)。はじめに簡単に本の紹介をします。
上記書籍を持参されない方には、句会場にて、定価の約7割(学生さん5割)で頒布いたします。
俳句初心者大歓迎。
句会後の喫茶あるいは飲食からの参加も大歓迎。

日時:2023年11月18日(土)13:00~16:00
句会費:500円

いろいろな方にお会いしたくて、ひさしぶりに遠くまで出かけます。気軽においでくださると嬉しいです。

問い合わせ・お申し込みは、
岡田由季さん(yokada575@gmail.com)、または天気(tenki.saibara@gmail.com)まで。


≫『音数で引く俳句歳時記・冬+新年』≫amazon




2023/10/24

■広瀬ちえみさんの『What's』誌に出かけてるよ

川雑誌と銘打ってはいないものの、なにしろ川柳作家・広瀬ちえみさんが編集発行人、また会員諸氏もほとんど川柳の人と思しき『What's』第5号に、なぜか、ほんと、なぜなんだかわからないまま「招待」を賜り、10句を掲載していただいています。

川柳誌の中で浮かないのか? という心配・危惧は消せないので、どうせなら、とことん浮こう、ということで、俳句、それも希釈系・低血圧系の句に、ちょこっとだまくらかしの句を混ぜた10句にしました(川柳方向へと寄せることはしなかったという意味)。

それと、なんか記事を、というリクエストに答えて、『What's』前号の句のもろもろ、既存の俳句を並べた「二句陳列」という見開きの記事も載せてもらってます。これ、ほとんど句が並んでいるだけだから、面白いです。

以上、消息のようなものですが、2部、手元に余っています。ご興味の方は、tenki.saibara@gmail.com まで。



2023/10/12

■御座候 from 横浜



横浜に行ったyuki氏がおみやげで買ってきてくれた御座候。姫路出身以外の人に説明すると今川焼(回転焼)です。

これでひとつ110円。10個入りはずっしり持ち重りする。

1個食べて、あとは冷凍。

2023/09/05

■ライブのお知らせ

2023年107日(土)14:00開場・14:30開演
場所:江古田Buddy 江古田駅(西武池袋線)南口すぐ
7バンドが約30分ずつ出演。yuki氏と私が所属するハザコ(HAZAKO)は最初の出演です。

お問い合わせは、天気 tenki.saibara@gmail.com まで。

参考:HAZAKOの過去ライヴ(2019年6月)動画
https://youtu.be/qrhJ7jUCv4w?feature=shared&t=86



2023/08/14

■8月のくにたち句会・お知らせ

2023年8月27日(日)14:00 JR国立駅改札あたり集合。

句会場所:未定

席題:適当

句会後はおそらく拙宅にて飲食
※途中まで/途中からの参加もちろん歓迎

はじめての方はメール(tenki.saibara@gmail.com)ください。連絡先携帯電話番号etc、お知らせいたします。

2023/07/19

■7月のくにたち句会・お知らせ

2023年7月30日(日)14:00 JR国立駅改札あたり集合。

句会場所:未定

席題:適当

句会後はおそらく拙宅にて飲食
※途中まで/途中からの参加もちろん歓迎

はじめての方はメール(tenki.saibara@gmail.com)ください。連絡先携帯電話番号etc、お知らせいたします。

2023/06/02

■128s(イチニッパーズ)ライブのお知らせ

2023年625日(日)13:30開場 14:00開演
場所:くにたち・地球屋 http://chikyuya.online/
charge 1500円(ドリンク代別)

お問い合わせは tenki.saibara@gmail.com まで。

俳句つながりの吾郎さん・栞さん、梅干製造家のマサルさんと、わが家(yuki氏と私)の5人がイチニッパーズです。前座的に、部分ユニットの演奏もあります。ぜんぶ合わせておそらく2時間程度。

地球屋さんは、JR国立駅を降りて大学通りを南へ。一橋大学・東校舎の手前の地下。駅から5、6分。



2023/05/16

■5月のくにたち句会・お知らせ

2023年5月28日(日)14:00 JR国立駅改札あたり集合。

句会場所:未定

席題:適当

句会後はおそらく拙宅にて飲食
※途中まで/途中からの参加もちろん歓迎

はじめての方はメール(tenki.saibara@gmail.com)ください。連絡先携帯電話番号etcお知らせいたします。

2023/05/02

■もなか

世界一キュートな最中だと思う。


包装紙を剝くと、それほどでもない(ごめんね。かわいいと言ってあがたかったのだけれど)。


口に入れると、はい、美味しい。甘さはかなり控えめだと思う(最中全般、あまり知らないのだけれど)。

2023/04/27

■音数歳時記・夏

立夏を前に、もうすぐ(この週末あたり)書店に並ぶはず。『音数で引く俳句歳時記・夏』。


春は《バスを待ち大路の春をうたがはず 石田波郷》で始まりましたが、夏の最初は1音の「暑(しょ)」。

ページ数は春よりも増え(夏は春よりも季語が多い)、そのぶんすこしだけ値上がり(ご容赦ください)。

例句には今回も腐心しました。ひとつ、トピックは「夏木立」の例句。購入なり立ち読みなり(もちろん購入が望ましい日本経済にとって)。

春に続いて夏も、おたのしみいただけたら幸いです。

2023/04/05

■音数歳時記のこと

ひょんなことから、季語が音数順に並んだ歳時記という、これまで多くの俳句実作者が「あったら便利かも」と考えたはずなのに、なぜか、なかった歳時記をつくることになり、企画スタートから春の巻の刊行まで期間が短かったこともあり、きほんひとりであることもあり、いや、そもそも「歳時記をつくる」ということ自体が、まあまあ大変な作業であるわけですが。


大変は大変ですが、それでも愉しみはあります。例えば、例句。書籍の性質上、多くを載せる必要はありませんが、皆無だと、格好がつかない。それにまた、味気ない。で、載せるわけですが、自分の中にいくつか方針があって、ひとつには、少ないなかにもヴァリエーションを出すこと。もうひとつには、ヘンな句、というと語弊がありますが、歳時記に載りそうにない句、例えばパロディとか攝津幸彦とか加藤郁乎とか毛呂篤とかを入れる。といっても、ヴァリエーションの点から「ヘンな句」ばかりではいけない。いわゆる名句として評価の知れ渡った句も入れる。てなかんじであれこれ考えながらの作業は、存外愉しいのですよ。

音数順に並んだこの本、春の巻の冒頭は「春」(2音・時候)です(この巻には1音、例えば和布刈り(めかり)の和布(め)とかを入れませんでした。いろいろ考えたすえ)。

で、春の例句の先頭は、この句。

 バスを待ち大路の春をうたがはず 石田波郷

このあいだの記事で取り上げたこの句を例句の最初に持ってくることは、かなり早い段階、作り始めの頃に決めていたことでした。決めたことを実現できた。このことだけでも満足しているのですよ。

ラヴ&ピース!

2023/04/03

■大路の春

春といえば、この句。

バスを待ち大路の春をうたがはず 石田波郷

時間も空間も心根も、すべてがおおらか。大好きな句です。

俳句を始めてまもない頃、この句を読んで、頭の中に、行ったこともない(実際に)見たこともない満州国の空と道が広がったのは、きっと、桑原甲子雄の写真集『満州昭和十五年』(1974年/晶文社)の影響です。

俳句を読んで、どんな景を思うかは、人によって(大きく、あるいはわずかに)違う。大多数の読者の想像とあまりにかけ離れていると、それは誤読ということになるのだろう。私の場合、誤読、あるいは「自分勝手な読み」と言われてもしかたがないのだが、広がってしまったものはしかたがない。今も、その、というのは読んで最初に感じた空気を、この句はまとっている。

ところで、戦前の満州に、バスは走っていたのか? そう訝しがる向きもあろうかと思いますが、ちゃんと路線バスや観光バスが走っておったのですよ。


こんな写真を見ちゃうと(写真自体は夏っぽくはあるものの)、ますます掲句を満州に置きたくなります。そうなると、やはり、「大路」は「おおじ」ではなく、「たいろ」と読みたくなるんですよね。

なお、自分の読みを正当化したり押し付けたりしたいのではありません。なんか、人と違う感じに読んじゃったんですよね、という話。

ラヴ&ピース!

2023/03/22

■ひさしぶりの「はがきハイク」

きょうあすあさってくらいに届くと思います。

送り漏れ多数。新住所などをお知らせいただければ送らせていただきます。

また、「なに? それ? 興味がある」という方は、tenki.saibara@gmail.com までお知らせください。







2023/03/16

■皮フ科のフ

夕ぐれの立看板の皮フ科のフ 時実新子

違和感とまでは行かなくて、ちょっと目のとまってしまう「フ」という用字。〈夕ぐれ〉の妖しさがそうさせるのか、「フ」が夕ぐれを妖しくするのか。

ともかく、そういうものを目にする愉しみですね、散歩は。

掲句は小型のリーフレット型の発信『Rereading 時実新子』第9号(妹尾凛・八上桐子発行)より。



2023/03/15

■3月のくにたち句会・お知らせ

桜が見頃かもしれません。大学通りを散歩。

●2023年3月26日(日)14:00 JR国立駅改札あたり集合。
●句会場所:未定
●席題:適当
●句会後はおそらく拙宅にて飲食
※途中まで/途中からの参加もちろん歓迎

はじめての方はメール(tenki.saibara@gmail.com)ください。連絡先携帯電話番号etcお知らせいたします。



2023/03/05

■デヴィッド・T・ウォーカー

大好きな、いっとう大好きななギタリスト、デヴィッド・T・ウォーカーを取り上げています。音楽千夜一夜。


インストです。

音楽を聴くとき、唄(ヴォーカル)は、あってもいいけど、なくてもいっこうにかまわない。

たまに、ラジオから、すごく良いイントロが流れてきて、「おっ」と期待していると、なんだかあなあな唄が入ってきて、「唄なしならいいのに」と思うことがある。もったいない。とはいえ、つくっている人たちは伴奏を売りたいわけじゃなくて、歌を売りたいわけですからね。

2023/02/28

■ぽぽの歴史 上野遊馬「創造と模倣」上・下

上野遊馬「創造と模倣」上・下(『里』2023年1月号・2月号)をひじょうに興味深く拝読。「似せた句」「似てしまった句」をポジティヴに、というのはいわゆる剽窃・盗作の側面ではなく扱った記事、というか展示。

有名句《たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ 坪内稔典》が、1667年の《たんぽぽのぽぽともえ出る焼野かな》まで遡ること、途中、短歌(河野裕子)もあり、加藤楸邨ありと、「長い歴史」を踏まえた快作・怪作であることを知っただけでも、私には良かった。

下敷きになるテクストは俳句や短歌ばかりではなく、例えばデカルトの「我思う、ゆえに我あり」。引用先として、下敷として、原典として、さまざまな「本歌取り」「パロディ」が展示されている。もちろんのこと、この記事に挙げられた以外にも実例が多く存在するはずで(デカルトで言えば、《われ思はざるときも我あり籠枕 三橋敏雄》は掲げられていない)、みなさん、いろいろやってますねえ、というかんじに、ちょっとにんまりとしてしまうのでした。

ラヴ&ピース!





2023/02/14

■季語とオムライス

ジンギスカン鍋が話題になっているのを見て、

https://twitter.com/gyuugo/status/1625321073817563136

えっ? それ、どんなだ? 食べたい。焼くのは知ってるけど、鍋? と、北海道を知らない私はひとり盛り上がり、調べてみると、つまり、焼くみたいですね。知ってるやつだ。いずれにせよ食べたい。以前、「松尾」という有名ブランドを取り寄せて食べたことがある、たしか。

と、食い意地の張った話になりましたが、話題の主題は、季語としてのジンギスカン鍋をどの季節に入れるかという話でした。

これには、北海道民でもない私がとやかく言うことはないのですが、ちょっと一般化して、ひとつ思うのは、「季語にする必要がないのでは?」ということ。ぞんざいに言えば、なんでもかでも季語にすることはない。と思う。

季語認定される語が時とともに増えていくのは、時代の変遷というよりも、「新しい事物(従来的には季語ではない)を俳句に詠み込みたい」という欲求と「有季であってほしい」という欲求を両立させようという、カジュアルな事情なんじゃないでしょうか。

  旗立てずとも巨艦のごとしオムライス

オムライスは春しかありえないほど春っぽい(私にとって。、

  あんぱんは餡とパン餡のパンどっち

あんぱんも同じく、きわめて春っぽい(私にとって)。

だからと言って、「オムラスを春の季語に!」運動、「あんぱんを春の季語に!」運動をやる気は、さらさらない。

無季でいいでしょ、べつに。

なにがなんでも有季、という魂胆がぜんぜん理解できない。なんで無季をそんなに嫌がるのか、私にはわからない。同性婚を認めない、夫婦別姓を認めないのがわからないくらい、わからない。

無季でいいよ。

このひとことで、いろんなややこしいことがすっきりする。

そう思ってるのは私だけかもしれないけれど。

ラヴ&ピース!

2023/02/11

■すること・したいこと

ケーブルテレビで阪神タイガースの春季キャンプでの練習の様子を見ていると、自分が「世界で一番ヒマな人」に思えてきて、それはそれで、じつは快感だったりする。

2月にすること・したいことを挙げてみた。

労働。
自動車保険の契約更新手続き。ネット上で数分で終わった。
立川に来ている木下サーカスを見にいく。
献血に行く。去年の夏以来行っていない。妙にそわそわする。
はがきハイク。つくる? 出す?

こう列挙すると、あんまりない。余裕でヒマできるはずなのに、現実にはそうでもない。

 十二月一月二月寝て起きて 10key

まあ、てきとーに。

ラヴ&ピース!



2023/01/29

■ライブ、無事(と言い切っていいのか。でもほぼ無事に)終了

+近藤十四郎
Cissy Strut
はじまるよ(music & Lyrics by 近藤十四郎)
St.D'A-Gig Marches On/ラムを一杯(同)
近藤十四郎+yuki
Song for You(訳詞 by 近藤十四郎)
+近藤十四郎+yuki+まさるさん
悪魔を憐れむ歌(訳詞 by 近藤十四郎)

goro+yuki
DB
128's(イチニッパーズ)
夢で逢えたら
Proud Mary(訳詞 by goro)
終末のタンゴ
It's Not the Spotlight
What's Going On
Gasoline Alley
(encore)また逢う日まで

2023-1-28 於:大森・風に吹かれて

2023/01/06

■ライブのお知らせ

128's(イチニッパーズ)

shiori-san vo kaibun goro bass vo maasru san percusion
yuki氏 piano 10key guitar
guest 14郎

2023年1月28日(土)17時30分開場  18時開宴
2.300円(1drink付)
場所:大森『風に吹かれて』03-3763-6555 
東京都大田区大森北1丁目 34-16 六然堂ビル 2F