2019/12/29

■組句:しあわせについて

ヒヤシンスしあわせがどうしても要る  福田若之

ヒヤシンスじゃあどうすればよかったの  八上桐子

ヒヤシンスと未来と過去。

ところで、シアワセとかフシアワセについて考えたことがあるかないかといえば、あるのですけれど、否、考えるというほどはっきりしたものではなく、不定形に、なんとなくふわっと、思いのようなものに包まれるといったほうがいいか。

自分の中にシアワセがあるのか、シアワセの中に自分がいるのか。ずいぶんとスウィート過ぎる設問だが、このへんは実際ややこしい。シアワセは、生まれるものなのか、やってくるものなのか。

あるとき、これからさき、いつか、シアワセになるんだろうなあ、とか、このさきシアワセが訪れることはないんだろうなあ、とか、心情的には真逆のふたつのことが、しかし、それほど逆でもなく、日に日に移り変わったりする。

いまシアワセかどうかを訊かれて、イエスと答えようがノーと答えようが、どっちでもいいような気がして、とすると、この問題は大問題のようでいて、じつは、かなりどうでもいいことなのかもしれない。あくまで私にとって、ですが。

一方、あのとき、どうしていたら、いまは、いまよりシアワセだったのか。そういう問題の立て方も、あるにはあるが、これは、ちょっとせつなすぎるかもしれないですね。

前掲。2句とも、せつないにはせつない。

2019/12/28

■はがきハイク・第21号

業界最小最軽量俳誌『はがきハイク』第21号が今日あたりからぼちぼち皆様のお手元に届くと思います。


『はがきハイク』はこちらから勝手に送りつける御挨拶のようなもの。送り先の漏れは多々。届かないときは、「おい、こら、来てねえぞ。送れ」とゆってください。
tenki.saibara@gmail.com

見たことがない、興味がちょっとあるよ、という方も、同じメールアドレスへどうぞ。

なお、年末年始の御挨拶も兼ねて「12月」となっていますが、届くのが2020年になってしまうこともあろうかと存じます(私の動き出しが遅かった。反省)。ご海容のほど、よろしくお願い申し上げます。

【お願い】
はがき「全面」/俳句全部の写真、画像キャプチャー等を、ネット上に載せるのはご遠慮くださいますようお願い申し上げます。

2019/12/20

■組句:非常口の人


非常口に緑の男いつも逃げ  田川飛旅子

白靴の脱げかけてゐる非常口  浅沼璞〔*〕

靴が脱げかけているのは、生身の人間と解すべきだろうが、こう並べると、あのピクトグラムの男の靴、と思えてきて、諧謔が増した。

(靴はいてるのか、どこが靴だ? という問題はさておき)。


〔*〕浅沼璞『塗中録」(2019年11月/左右社)

2019/12/19

■大野泰雄句集『むつつり』ああ軽妙で巫山戯ている

このあいだから読んでる大野泰雄句集『むつつり』がおもしろい。

ちょっと無頼で、軽妙。いいかんじに巫山戯た句も多い。佐山哲郎さんの諸句集にも通じるかも、です。

いいかんじに巫山戯るのは存外難しくて、こっちが引いてしまっては、その巫山戯は失敗。

※句集『むつつり』については、またどこかに書きます(おそらく週刊俳句)。


ところで、軽妙とか飄逸とか巫山戯は、オトナの所作。なぜかというと、暮らすことの重苦しさ、つらさ、かなしさ、ばからしさを知っているから。

重苦しいから、重い句を書くんじゃなくて、むしろ、というね。そんな人が多いんだと思いますよ。

若い人(と十把一絡げにすると叱られるけど)は、まだ、そのへん知らないくていいです。わからなくていいです。

ラヴ&ピース!


2019/12/17

〔連鎖〕27-b なかはられいこ

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〈26〉にふたつ付きました。次の28は、〈27〉27-b〉双方を受けて、付けてください。


27-b なかはられいこ 2019-12-17


明け方ちかくに夢をみた

深い森のなかにいた
(これはゆめだ)
足裏にひんやりとやわらかい苔の感触がある
(ああ、はだしだね)

膝の辺りにばさばさと熊笹の葉ががあたる
(ゆっくり、ゆっくり)

行くべき場所はわかっている
(だって、ゆめだし)
沼があるのだ
こっちのほうに
(ふるいみずのにおいがする)

ピーッっと一声鳴いて鳥が視界を横切る
気がつくと地面はアスファルトに変わっている
(たいおんみたいにあたたかい)

沼はまだか
(ぬるいみずぬるいどろなつかしいにおいの)
沼はまだか
(こもれびをはんしゃしてひかる)
沼はまだか
(しんだようにしずかな)

感ずることのあまりに新鮮すぎるときそれをがいねん化することはきちがひにならないための生物体の一つの自衛作用だけれどもいつでもまもつてばかりゐてはいけない 宮沢賢治 『青森挽歌』より

このあとに「つなぐ」という方は tenki.saibara@gmail.com までご連絡ください。

2019/12/16

〔連鎖〕27 川合大祐

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27 川合大祐 2019-12-16

・・・・・を説明するために用いられた最も重要なモデルは、死や拷問や殉教のモデルであった。悔悛の理論と実践は、自分の信仰を傷つけたり棄てたりするくらいならむしろ死を選ぶ、そうした人間の問題をめぐって磨きあげられていた。殉教者が死に直面するその仕方が悔悛者にとってのモデルである。堕落した者・・・・・・・世界との断絶の、装いである。・・・・・・死に直面して死を受容できることを示す方法である。罪の悔い改めは、何らかの自己同一性の確立を目標とするのではなくて・・・・・・ Ego non sum,ego〔過去のわれはもはや存在せず、存在するのは新しいわれである〕・・・・・・自己明示は同時に自己破壊である。
(ミシェル・フーコー『自己のテクノロジー』より抜き書き)




このあとに「つなぐ」という方は tenki.saibara@gmail.com までご連絡ください。

2019/12/15

〔連鎖〕26 西原天気

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26 西原天気 2019-12-14



The night was so young and everything still
The moon shining bright on my window sill
I think of her lips, it chills me inside
And then I think why does she have to hide

Is somebody going to tell me why she has to hi-i-ide
She's passing it by, she won't even try
To make this love go where it should

The sky's turning gray, there's clouds overhead
I'm still not asleep, I'm in my bed
I think of her eyes and it makes me sigh
I think of her voice and it makes me cry

Is somebody going to tell me why she has to lie-i-ie
She'd be so right to hold me tonight
Love was made for her and I

It's three o'clock I go to my sink
I pour some milk and I start to think
Is she asleep or is she awake
And does she think of the love we could make

Wake up, call me baby call me tell me what's on your mi-i-ind
I've got a car and you're not too far
Please let me come over to you

The night was so young and everything still
The moon shining bright on my window sill
I think of her lips, it chills me inside
And then I think why should she hide



「つなぎたい」という方はtenki.saibara@gmail.comまでご連絡ください。

2019/12/14

【お知らせ】12月のくにたち句会

2019年12月29日(日)14:00 JR国立駅改札付近集合

句会場所:ロージナ茶房(予定)

席題8題程度

事前兼題2題(当日お持ちください) 注 動物〔テーマ〕

初参加の方は、メールtenki.saibara@gmail.com、電話etcでご一報いただけると幸いです。問い合わせ等も、このメールまで。



2019/12/13

■他人の音楽にニヤニヤする


音楽の趣味がいい(という言い方が感じ悪いなら、自分と趣味が合う)友人がつくってくれたコンピレーションはとても愉しい。初めて聴く曲も多いし、チョイスはもちろん並び順にもにんまりしてしまう。

某俳人からこのあいだもらった2019年のアラカルトは、知らなかった曲・大好きな曲が多く、同時に、その人がその年齢になってもなお自分の好事・趣味をアップデイトしていることに感心・尊敬。私ももっといろんなものを聴かなくちゃ、という気になりましたよ。



ラルフ・カステリ(≫spotify)は今回始めて聴く。なんの予備知識もないけれど、今様のレイドバック? ズボンやベルトの位置がおしゃれ。なんか、たらっとリラックスできて、ラヴ&ピース!

2019/12/12

■shape of things


ゆうべのスパゲッティを保存容器のままレンジで温めて、ひっくり返すと、別の食べ物みたいに。

混ぜると、同じなんだけどね。

ラヴ&ピース!

2019/12/05

■『水界園丁』、現る @近所

嫁はんから、近所の書店の棚に生駒くんの句集がぁぁ! というメールと写真。


ふむ。それは行ってみないと、というわけで、出かけたら、出版社「港の人」のフェアの模様。

今回、ふたつ吃驚したこと。ひとつは、俳句・詩歌限定の企画ではないところに、この本がラインナップされたこと。もうひとつは、嫁はんがこの本に気づいたこと。

ラヴ&ピース!




2019/12/04

〔連鎖〕25 小津夜景

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25 小津夜景 2019-12-4






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2019/12/03

〔連鎖〕24 喪字男

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24 喪字男 2019-12-3




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