2021/11/27

■スティル・アライブ

「生存報告系個人誌」とのことで、佐藤りえさんが『九重』を創刊。

  忘れたり思い出したりする夕日

あのくたら人を仕舞っておく箱を記憶と呼んで森は震える  佐藤りえ

「あのくたら」は「阿耨多羅」だろうか。カタカナで書くと、アメリンディアンの儀式のようでもあります。ない?


ところで、こうしたブログ更新も「生存報告」の意味合いがいまや強く、つまり、長いこと更新がないと、「生きてるのかな?」「死んだんちゃう?」と思う人が数人はいそうで、これは、その数人に向かって、まだ生きてる、のサイン。それが、記事を更新する動機の、いまや大きな部分を占めている。ので、つねに、例によって、さしたる内容はなく、変わりなく暮らせていることを良しとし、感謝しつつ、ラヴ&ピース!

2021/11/23

■勤労に感謝する日の朝ごはん

7年前のこの日、短歌のようなものをここに書き、


1年前のこの日、真っ黒のチビにはまだ名前がなく、うちで飼うかどうかも決まってなかった。


朝食の話題はない。





2021/11/16

■前歯

前歯欠け気温三十九度三分  岡村知昭

寒くなってきたのに、こんな句で(って言うと、失礼か。でも、そういう意味じゃない。作者に失礼な意味の「こんな」じゃなくて)、申し訳ないです。

日本で39度超えは、ニュースになるレヴェル。そうとう暑い。暑いなか、前歯の欠けたこの人、たいへんだろうなあと思うと同時に、どんな人だ? と、やはり、その人の現状とか来し方とかに、無用にも深い興味を抱いてしまい、こう暑くては、こっちも汗だくですよ。

無季ではないし、韻律は律儀に五七五。でも、ヘンな俳句に仕上がっていて、ああ、素晴らしいなあ、と、これは、本気で、そう思ってる。

掲句は『豈』第64号(2021年11月)収録の岡村知昭「さみしい夜の象」20句のうちの一句。この句のうしろには、

象使いとはくちづけをしない仲  同

があり、もちろんのこと、句と句は別々なのだろうけれど、勝手に、前歯の欠けたくちづけを想像してしまい、前歯の欠けた相手とのキスの経験がないので、想像でしかない想像をしてしまい、あんがいマニアックな快楽なのかもしれんなあ、と。

ヘンな感じに、ラヴ&ピース!

2021/11/13

■このところ代打

…づいております。

月曜日の一句〔中村安伸〕西原天気

金曜日の川柳〔筒井祥文〕西原天気

金曜日の川柳〔兵頭全郎〕西原天気

2021/11/11

■映画三句 『猫街 』第4号より

同人諸氏の句会で「映画」というお題が出たのかな、あるいは、映画館吟行? と思ったのは、『猫街 NECOMACHI』第4号(2021年11月号)より、映画の句が離れた箇所にいくつかあったから。

単純な映画と紙コップのビール  杉山魯壜

映画館での行動様式の標準にでもしたいのか、東宝のシネマコンプレックスは、やたら、ポップコーンやドリンクを勧めてくる。込み入った映画でなければ、なにか飲みながら、というのも、リラックス感が増して愉しそう。《紙コップ》がいいですね、この句。

名画座に今日も来ている火取虫  近江文代

《火取虫》が《来ている》のではなくて、切れがあると読みました。「また火取虫(蛾)がいるよ、こないだもいた」のなら、この人も火取虫もどっちもまた来てるんだから、どっちでもいいだけどね。《火取虫》は、スクリーンの灯とつながって、愉しい。まさか、スクリーンにぶつかってくるわけではないだろうけど(昔の巡回映画なら、ありそうな景)。

映画観てからの干草は芳しく  きゅうこ

干草のシーンって、欧米の映画で頻繁に見るような気がします。映画『薔薇の名前』で干草小屋での合い挽き、もとい逢い引きとか(記憶違いなら、ごめんね)。干し草のシーンを見たから、なんてことは言わない。ある映画を観て以降の干し草は芳しく感じる。ふたつの距離がといもいい。映画もまた、かぐわしい感じ。

で、こんなことを言うと、顔をしかめる人がいるだろうけど、「の」あるいは「は」のどちらかナシにできなかったのだろうか。五八五を回避できるのに。〈えいがみて/からのほしぐさ/かぐわしく〉〈えいがみて/からほしぐさは/かぐわしく〉。「は」をトルと(前者)、《干草》で軽い切れが生じ、こちらのほうが好み。韻律もこっちのほうがいい。

ああ、映画館、行きたくなっちゃった。

2021/11/10

■70メートル

カーナビは操作した覚えのない画面が出てきて困ることもあるのだけれど、このあいだは現在位置の経度緯度、それと高さが表示され、へえ、ここは70メートルなのか、と、他人様からすれば、それがどーした的な感慨。

23区内でいちばん高い山は愛宕山で30メートルに満たず、最高地点は練馬区関町の57.8メートルであるらしく、ここ、私が住んでいるあたりは、じゅうぶんに高い。