2014/02/28

■変態俳句・その後




あなたが「変態俳句」と思う俳句は?という質問に対して、答えがなかなか思い浮かばないのは、ある一句を「アブノーマル」と呼んだ瞬間、みずからを「ノーマル」の領分に位置づけることになるのではないかという慎みが(無意識に)はたらくからです。

配慮を欠けば、ノーマル-アブノーマルの固定化に手を貸すかもしれないことを知っているので、思い浮かばない(思い浮かべるべきではない) という選択が、リベラルに穏当。

それは、《固定化という不自由》に対して敏感であるということです。

でなければ、私のように「なんかようわからん」というだけの人間か。


一方、すぐに思い浮かぶ人は、よほどの鈍感か、あるいは(上記のような事態が招く)陥穽をなんらかの手順でもって飛び越える作業を済ませたか、あるいは、「アブノーマルを自認する」という《固定化》にすでにして嵌っているか、そのいずれか、ということになります。

2014/02/26

■からっぽの容れ物

全国に300万台以上の防犯カメラが設置されているそうです。

  防犯カメラ春昼だけが映つてゐる  仲 寒蟬

人通りが少ない場所なら、春の昼だけが映っていることもあるのでしょう。というより、多くの防犯カメラは人が映っていない時間帯のほうが多いのかもしれません。

からっぽな感じは、映像だけではなく、春の昼も。

からっぽなだけに、そこに何かを見るのかは(のどか、平穏、禍々しさ、不吉etc)、見る人によってさまざまのような気がします。

掲句は『巨石文明』(2014年1月/角川学芸出版)より。



2014/02/24

■こんなライン

葛西紀明選手(41歳で銀メダルを獲得)

加藤鷹

榮猿丸

こんな、今をときめくラインが、俳句世間には、あるのだそうです(あの「石田郷子ライン」とは別に)。


そんなわけで、週刊俳句・第357号に「榮猿丸句集『点滅』のオフビート感」を書きました。
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2014/02/blog-post_23.html



2014/02/20

■オリンピックたけなわ?

五輪ということで、お約束のように自句を掲げることに(今、した)。

  七輪と五輪のちがひ鰤を焼く  10key(「くぢら」7句より)




2014/02/18

■くにたち句会〔2月〕のお知らせ

2014年2月23日(日) 14:00 JR国立駅改札を出て南口付近 集合
句会場所:いつものキャットフィッシュ(予定)

席題10題程度

句会後の飲食もよろしければご一緒に(会費アリ)

2014/02/16

■俳句は雫

草木をあんな風に昇華されてしまうと、ドキドキしてしまいますよね。俳句がいつか雫に見えるときがあります。(…)
なかやまなな ‏@fukurofuaribai
https://twitter.com/ray_kwsm/status/433888089962844162



2014/02/11

■新家完司『平成二十五年』p27が、身も蓋もない

新家完司『平成二十五年』(2013年1月6日/新葉館出版)のp27に並んだ3句。

  高齢者諸君もうすぐ砂漠です

  名案はないかゴミ箱のぞき込む

  そうですね味方はやはりお金だけ


ちょっと笑った。



2014/02/06

■五輪すね

冬季五輪が始まりますね。

冬季じゃなくて夏季のときの写真が携帯電話の奥底から出てきました。





2014/02/05

■歌仙の代打

志さんのパソコンが逝ってしまわれたということで、急遽、代打。
http://8408.teacup.com/namubow/bbs/4038

途中出場で歌仙「水の流れ」に入っています。
掲示板はこちら↓
http://8408.teacup.com/namubow/bbs

こういうケースは初めて。というか、歌仙じたい、何年ぶりだろう?

2014/02/03

■オムスクトムスク……


句集『カルナヴァル』より、「シベリア鉄道」の添え書きのあるこの一句。

オムスクトムスクイルスノヤルスクチタカイダラボ春の雪  金原まさ子


初出時のブログ記事には、猫髭さんの「オムスクはドストエフスキーの流刑地だし、トムスクもシベリアの都市とはいえ(…)」のコメント(http://sea.ap.teacup.com/masakonn/188.html)。さすが博学。

浅学の身には呪文のようです。そこに「シベリア鉄道」とくれば、呪文とともに、口の中から列車が飛び出し、雪の中を駆ける景も広がる。

カタカナが貨車のひとつひとつにも見えてきます。



出所:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A2%E9%89%84%E9%81%93

2014/02/01

■男波弘志「俳諧風俗陳列棚 二」が楽しい

男波弘志「俳諧風俗陳列棚 二」20句(『里』2014年2月号)が楽しい。


来し方が黒いピアノになつてゐる  男波弘志(以下同)

ピアノならいいなあ。

こちらは「白いギター」くらいに悲しく安っぽいかもしれない。日曜午後の『TVジョッキー』(日本テレビ系列)が青春期に重なる世代としては。(わからない人は「白いギター TVジョッキー」でgoogle)


おつ勃(た)つたりおつ死(ち)んだり秋の雨だつたり

…には「椎名林檎五句」の詞書。


寺山を離るる修二枯野原

…は「修司」の誤りか。あるいは「修二会」と掛けてあるのか。前者と見るが、そうであってもあまり気にしない。

「テラヤマ」と、この四音を独特の湿度と距離感(肌触れ合うほどに近いという意味だけど)で口にする世代・社会集団に私はいないけど、隣にする機会は多い。たいていは酒の席。そうじゃないシラフでは、まあ、あまり聞きたくないわけですが。


冬の日や満艦飾の母とゐて

「お、お、おかあさん!」と叫びましょうか? テラヤマ風ではなく。


巨き巨き原子炉ほどの熊睡る

原子炉の句はほかに2句。「原子炉」は、俳諧・俳句のみならず、これから長きに渡って、寓話的に、あるいはそうでなく、想像の、あるいはそうではない風景の中に、繰り返し現れつづけるのでしょう。音(ゲンシロ)といい、漢字の組成といい、あの巨大な物語を背負うに(偶然にも)充分すぎる語です。