2018/12/31

■2018年にこのブログで書いた句評・句集評

一句について、句集について、前の記事で『週刊俳句』関連に掲載したものを並べましたが、このブログでも書いています。

記事を書こうと思い立ったとき、それを週俳関連に載せるか(載せてもらうか、そうではなく自分のブログに載せるか。これはかなり悩みます(皆さんが想像する以上に悩んでいるかもしれない)。同じネットでどちらの場所を選ぶか、その判断に確たる基準はないのですが、なんとなく、自分のブログのほうが気楽に、カジュアルな気分で書ける。週俳も、そういう気分で行きたいのはやまやまなのですが(寄稿を思い立った方にとってのハードルを下げるという役割を、私の記事は担っていると信じていることもあって)、でもやはり、どうしても、そうは行かない。家で音を出すのと、外(ライブハウス)でやるのと、やはり違うわけで。

で、時間が過ぎてから、「やっぱりあっちにしとけばよかった」と後悔することもあります。例えば、2018年に読んだ句集で。特に印象に残ったものをいくつか挙げよ、と言われたら、八上桐子『hibi』はまちがいなくそこに入るのですが、週俳関連では取り上げていません。

輝くほどに 八上桐子『hibi』より
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/03/hibi.html

欠損・欠落がもたらすもの 八上桐子『hibi』の二句
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/03/hibi_28.html

どちらもこのブログ。この2つ以外にももっと書きたい気持ちはありましたが、これがやっとでした。〈好き〉と〈それについてなにか言える〉とは別物なので。

というわけで、けっこう悩みながら、後悔しながら、やってるんですよ。

以下に、備忘録的に、2018年に、このブログで、句について、句集について触れたものを拾っておきます。

〔1月〕

ネジのこと、雨のこと
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/01/blog-post_88.html

並ぶ 『舞』第85号より
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/01/85.html

昆布のこと 『晴』創刊号より
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/01/blog-post_53.html

炬燵の風景 北大路翼編『アウトロー俳句』より
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/01/blog-post_8.html

〔2月〕

感覚器 『オルガン』第12号の宮﨑莉々香
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/02/12.html

空は 『円錐』第76号の宮﨑莉々香
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/02/76.html

『オルガン』第12号の鯨
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/02/12_17.html

指先 『円錐』第76号の今泉康弘
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/02/76_20.html

父は 海地大破の一句
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/02/blog-post_25.html

花独活そぞろ読み01:リアルにイナカその他
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/02/01.html

〔3月〕

花独活そぞろ読み02:棄景
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/03/02.html

妙味 『円錐』第76号の山田耕司
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/03/76.html

飲食の陰と影 『川柳木馬』第155号・きゅういちの60句
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/03/15560.html

〔4月〕

スプリングボードのこと 『翔臨』第91号の小山森生句
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/04/91.html

火と人間 『鏡』第27号より
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/04/27.html

〔6月〕

不思議 『季刊芙蓉』第116号より
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/06/116.html

香水のこと 伴場とく子句集『ふくらんで』
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/06/blog-post_84.html

1年が過ぎるの、早い 『豆の木』第19号の話
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/06/119.html

土曜日は…… 『なんぢや』第41号より
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/06/41.html

〔7月〕

紫陽花 『舞』第90号の一句
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/07/90.html

クーラー句
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/07/blog-post_12.html

そのこころは? 『里』7月号より
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/07/7_21.html

幽霊と給水塔 『オルガン』第14号より
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/07/14.html

〔8月〕

入れ歯のこと 『翔臨』第92号より
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/08/92.html

抱く 週刊俳句・第583号の八鍬爽風句
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/08/583.html

走れ禿頭 『塵風』第7号の井口吾郎
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/08/7_11.html

エビフライその他
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/08/blog-post_29.html

〔9月〕

羊羹をどこで切るのか 一句の中の句読点
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/09/blog-post_22.html

〔11月〕

梨のひとっきれ 『無心』創刊号より
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/11/blog-post_30.html

〔12月〕

「もう帰るね」「じゃあまた」
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/12/blog-post_22.html

轢かれた現場 福田若之との散歩
http://sevendays-a-week.blogspot.com/2018/12/blog-post_18.html

■2018年に『週刊俳句』で書いた句評・句集評

もっとたくさん書きたかった、なぜ書けなかったのか、と反省しきり。

読むのが追いつかなかった(特に2018年後半)こともあるし、なかなか記事にまとめられなかった。

来年はもうすこしがんばろう。

のうのうと暮らす 野口裕句集『のほほんと』の一句
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/01/blog-post_28.html

趣向と無造作 黄土眠兎『御意』の二句
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/02/blog-post_4.html

【転載】二〇世紀の成熟 岡野泰輔句集『なめらかな世界の肉』
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/02/blog-post_41.html

瞬間と永遠 山田露結『永遠集』の二句
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/02/blog-post_81.html

バナナと西瓜とマスカット 西村麒麟『鴨』
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/02/blog-post_79.html

美の存在 上田信治『リボン』を読む
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/03/1.html

上田信治句集『リボン』で「や」「かな」「けり」を数えてみた
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/07/blog-post_45.html

書物という世界 岩淵喜代子『穀象』の二句
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/03/blog-post_25.html

その手足 日原傳『燕京』の二句
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/03/blog-post_11.html

チンドン屋のゆくえ 飯島章友『恐句』の一句
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/06/blog-post_36.html

海月の光景 花谷清『球殻』の一句
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/07/blog-post_29.html

蝶にふれ 木本隆行句集『鶏冠』の一句
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/08/blog-post_0.html

ふくらはぎ 柘植史子『雨の梯子』の一句
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/09/blog-post_2.html

別の場所から別の句が 岡田一実『記憶における沼とその他の在処』の食べもの句
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/10/blog-post_7.html

なめらかな夜に 飯田晴句集『ゆめの変り目』の一句
https://weekly-haiku.blogspot.com/2018/10/blog-post_5.html

on ウラハイ
【裏・真説温泉あんま芸者】津田このみ句集『木星酒場』はなぜこんなにも人名が多いのか(ただし正答を結論したわけでも回答を求めるわけでもないWhy構文)
http://hw02.blogspot.com/2018/10/why.html

2018/12/29

■みんなひらがな

表音文字であるひらがなの連なりから意味を読み取るとき、いくつかの候補があがることがあります。

ローソクもつてみんなはなれてゆきむほん  阿部完市

この句、

みんな離れてゆき謀反

と読み取るのが一般的のようですが、

みんなは慣れてゆき謀反〉とも読めます。

あるいは、

〈みんな離れて雪謀反〉〈みんなは慣れて雪謀反〉。雪が挟まるのはちょっと無理があるけれど、可能性としてゼロではない。

どれが《正しい》のか、妥当なのか、私には判断がつきません。だから、悪いとかまずいとかという話ではなくて、みんなはどう読んでる? って話。

これと同じことを思うのが、『えーえんとくちから』という書名。

えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力を下さい  笹井宏之

と作者が解読済みですが、この歌を読むまでは、

永遠と口から

なのか

永遠解く力

なのか、どっちなんだろう? と思っていました。

もっとも、これ、「えーえん」という表記に、〈永遠と口から〉と《誤読》させるような意図も感じられないこともない(つまり漢字の宛て方や意味をわざと確定させない)。

口から漏れる語としての永遠、というのも、単独のフレーズとしてかなり魅力的に思うのですが。

ラヴ&ピース!


2018/12/27

■歳晩のあれやこれや

性懲りもなく(誤用)ピクルスを漬け込んだり。


新しくおいでになったクルマがちょっとやんちゃだったり(ホイールやタイヤの扁平率が若い)。


嫁はんに教えてもらいながら、リベールタンゴのギターコードを書き留めておいたり(ザクザクは弾き方。本式のものではありません。音を出してみて合わなければ変えていく、という素敵にイイカゲンなもの)。


ひさしぶりの数時間自転車の途中に買った革手袋(ハードコアだぜい。その手の作業はしないけど、冬の自転車には必要なのね)が450円、ベルト(綿パンやジーンズには革のなんて要らない。この手が便利)が299円で、しめて749円(税込み)。ワークマン、えらい! つうか、近年わが国においてはモノの値段がおかしい。


そんなこんなで2018年が終わっていくわけであります。

ラヴ&ピース!

2018/12/24

■赤い

10年前の年の暮、どこで何をしていたんだろう、と、ふと思い、写真フォルダーを開けてみると、なかなかに赤かった。



下は、有名かな? 巣鴨の赤い下着の専門店。

そういえば、今夜はクリスマス・イヴ。色的には、それっぽい、と言えなくもない。

2018/12/22

■「もう帰るね」「じゃあまた」

忘年会のシーズンですね(とっくに)。

貰ひたるコルクの湿りコート着る  中山奈々

ワインのコルク栓を客に渡すというのは、西欧流のきちんとした店側のマナーなのかどうか知りませんが、これはとうぜん湿っている。乾いていたら、よほど管理が悪いってことです。

この句は、高級フランス料理店での出来事でもいいのですが、昨今は、居酒屋でもワインくらいは用意してます。

コートを着たのは、もう帰るから。

省略を効かせて、この季節のワンシーンをあざやかに、かつしっとりと描き出す。

掲句は『セネレッラ』第17号(2018年12月20日)より。

それはそうと、この一年を忘れるための酒宴とは、なんと手軽な(いい意味です)、またちょっと虚無も感じる慣習ではあります。

日本では、一年で水に流す。そういう文化です。除夜の鐘が鳴れば、不浄や悪徳は水に流されて、きれいな身心で一年を迎える。西欧では1000年かかるところを(千年王国思想)、わが国ではなんとその1000倍の素早さです。

ところで、この年齢になると、ほうっておいてもぜんぶ忘れてしまうので、忘年会の必要性はまったく感じません。悲しいのか嬉しいのかわかりません。

ラヴ&ピース!

2018/12/18

■轢かれた現場 福田若之との散歩

「ここがその現場なんです」と福田若之。

「その」とは、この句の出来事。

ベンツに轢かれてごめんなさいごめんなさいごめんなさい  若之『自生地』(2017年8月)

JR国立駅の北側をぶらぶら、「自生地」の舞台をたどる、というわけではないが、若之とふたり散歩した。なんの変哲もない住宅地の角にさしかかったとき告げられたのが、冒頭のセリフだ。

ほぉ、実話だったのか。

あはは。悲惨。

実話だろうが、ありがちなネタだろうが、どっちだってかまわないようなものだが、まぎれもなく事実だったことにはそれなりの意味がある。

自伝小説のようなあの句集『自生地』に、フェイクはなく、正味の自伝であること、ひたすらに一人称の俳句群であることには、それなりの意義がある。

いない姉は金魚に唄わない死なない 同

虚構の材料として伝統的に頻繁な「姉」(妹はさらに)は、いないのだから、歌も死もない。ここに虚構はいっさいない。この句集の途中、虚構めいたシークエンスもまた虚構ではなくしっかりとノンフィクションなのだと、小さな声で宣言するかのように。

その午後の散歩は、エックス山までは足をのばせず、彼がよく通った児童館の前を通り過ぎ、いまは別の家族が住んでいる生家(育った家?)をしげしげと眺めた。

こんどは自転車があるといいね、若之くん。もうすこしだけ遠くまで行こう。





2018/12/16

■こういう人・こういう句

ライザ・ダルビー『芸者』(1985年/入江恭子訳)にこんな一節があって、

「粋」であるとは、世なれているがすれっからしではなく、純情ではあるがうぶではない、ということなのだ。

こういう人になれたらいいし、こういう句がつくれたらいいな、と。

2018/12/13

■分解


100円ライターを分解。

というか、ただぶっ壊した、ということなんですが。

目的はフリント(発火石)の回収。clipper の石が切れたので、交換のため。

100円ライターってガスは切れても(すぐに切れるよね)フリントは消耗しきってないという読み。

フリントは得られなかったけれど(形状が違う? どれがフリント? ようわからん)、あんがい部品が多い(!)ってことがわかった


2018/12/10

■ライザ・ダルビー『GEISHA』ほか

電車に乗るのに本を持つのを忘れて、キオスクで湊かなえ『ポイズンドーター・ホーリーマザー』を買ったのは、作家名を目でおぼえていたからでしたが(テレビドラマの原作とか?)、あらま、どす黒いどす黒い。楽しみました。

で、次、何を読みましょうか? と本棚を眺める。はじっこにあったライザ・ダルビー『芸者 ライザと先斗町の女たち』(1985年/入江恭子訳)は、ずいぶんと昔に古本で入手、ずっと読まずに放ってあった本。米国の若い文化人類学者が芸者の研究のため、みずから芸者になるという参与観察。

読み始めると、これが、おもしろいおもしろい。

人類学者のレポートだけれど、学術の退屈はまるでない。ストーリーテリングの能力に秀でた人なんでしょうね。

奇しくも、女性という存在の、いろいろな側面を読書したことでしたよ。

ラヴ&ピース!

2018/12/08

■菓子とタンゴ

某日。友人夫妻来訪。某ミセス・タカムラも来訪。手ずから製作のパン・デビスなる美味なる菓子を携えて。


ともにタンゴを奏でる(≫こちら)。曲の終わり方を決めずに始めたせいで空中分解もまた楽しからずや。

2018/12/07

■眠らない木


JR国立駅から歩くと自宅まで30分以上かかるのですが、たまに、バスもタクシーも使わずに、散歩気分で帰宅したりします。

大学通りの駅に近いあたりは毎年この時期、イルミネーションで飾る。銀杏の落葉は昔に比べると遅くなったみたいで、黄葉がまだ残っているのに電飾を掛けちゃう木も。ちょっとかわいそう。

友人の植木職人によると、木も夜は眠るそうです。葉の有る無しにかかわらず、これでは夜遅くまでまぶしくて眠れないのでは? と心配になります。


【お知らせ】12月のくにたち句会

2018年12月29日(土)14:00 JR国立駅改札付近集合

  いつもは最終日曜日ですが、今月は異例の土曜日となります。

句会場所:ロージナ茶房(予定)。

席題10題程度

初参加の方は、メール tenki.saibara@gmail.com電話etcでご一報いただけると幸いです。問い合わせ等も、このメールまで。

2018/12/02

■極月マーチ

某日。「月天」句会年末恒例の無臍忌(山本勝之の忌日)法要および団体戦。わがチームは惜しくも優勝を逃す。

 やってきてやおらふところから鯨 10key

イベントなのでイベント的な句を用意。

風邪気味なので忘年会は欠席。帰ると、一泊で温泉(長野・別所温泉)に行っていたyuki氏はすでに帰宅していた。

旅先から、メールを送ってきて、文面に「真田ゆき」とあったので、添付画像は想像がついた。はたして、想像どおり、顔ハメ看板の真田幸村にご満悦でおさまったyuki氏。


なお、メモ的に、山本勝之にまつわる記事を。

http://weekly-haiku.blogspot.com/2014/04/blog-post_2396.html

この記事は、小津夜景『カモメの日の読書』(2018年6月/東京四季出版)にも収められている。

今夜、喫茶「鍵」で会いましょう


あと、山本勝之(山本土壺名義)が加わった1983年(私が彼と出会うはるか以前)の「タコ」のアルバムも、ちょっと長いけど貼っとくね。





某日。くにたち句会、無事終了。後半のダンスタイムは、汗をかいたし、凝ってた上半身がほぐれた。

つくった句。

  総武線いつしゆんむささびの匂ひ 10key

某氏、某受験のため、頭の中が東京の地名だらけ。その影響がこちらにも及んだ。



某日。みしみし来訪。職場がウチの近所で、その職場もあとわずかの期間、ということで来訪。飲食かつ楽器を鳴らす。楽しからずや。



某日。yuki氏、予定していた元生徒さんとのランチが流れて、それじゃあ、ディーラーに行きますか、買い替えの時期だし、ということで、相談したり、見たり、試乗したり。次のクルマは「歳取るほどにしだいに小さく少しずつヤンチャに」の原則に則って、半日で決め、事前の書類まで夜には済んだ。めでたしめでたし。



某日。新宿・世界堂へ紙を買いに。ついでに来年の手帳も買う。ちょっとコーヒーでも飲もうかと、立ち寄った喫茶店がどこも満員。なんという人出だ? どういう日本だ? 帰宅して、ああ平和。

ラヴ&ピース!