むかし、上田信治さん、榮猿丸さんと、給水塔の話をしたような気がして、調べてみると、もう10年も前だった。
≫サバービアの風景・前篇
http://weekly-haiku.blogspot.com/2008/06/blog-post_8970.html
そんなことを思い出したのは、『オルガン』第14号(2018年7月21日)をめくっていて、
いうれいは給水塔をみて育つ 鴇田智哉
という句があったから。
この句はサバービアの脈絡にはないけれど、と、いったん書いてから、いや、そうでもないかな? と考え始めた。
それはさておき、幽霊という過去/異界を表象する事物が、「育つ」という現在あるいは未来に関連付けられ、「給水塔」というきわめて〈この世〉的なものと強い結びつきをもつ、その唐突と不思議。
「育つわけないやろ!」と突っ込んだ、そのあと、そうでもないか、と思い直す。奇妙な実感が身体の奥にふつふつと沸き起こる。
生い茂る夏草もやがて見え、すると、「My Life in the Bush of Ghosts」という、「そういう意味じゃないんだけどね」なタイトルも想起され、給水塔のあるこの世の暮らしが、がぜん、あやういものへと透明化・軟化してくる。
いいな、この句。
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