2016/03/31

■「おそ松さん」(テレ東)が最終回を迎えたわけですが

ぜんぶ観たわけではないのですが、とてもよかった。

1 徹底的にふざけた点。……まともな人、ひとりも出てきませんでしたね。爽快。

2 あちこちに悪意が向けられた点。……破壊力それなりで、爽快。

3 幾度となく終末があった点。……一度は宇宙全体が破壊されませんでしたっけ? 最終回も全員死にましたし。


2016/03/30

■かつ丼をひらくとき

『鷹』2016年4月号より。

かつ丼の蓋の雫や春浅き  小川軽舟

蓋の硬質とかつ丼のほかほか感の対照、湯気(気体)と雫(液体)の対照が、早春の感じ。

なお、うな丼や天丼は上等すぎ。かつ丼のカジュアル感が、ちょうどよろしき早春感。


いつもながらキレイな表紙。この号はとりわけキュート




2016/03/28

■くにたち句会、無事終了

桜はまばら。ずいぶん満開に近い木もありましたぜ。開花時期が同じと言われるソメイヨシノにも個体差があるのですね。

牡蠣はこれで最後かな?


牡蠣殻に思ひの到る桜かな 10key





2016/03/25

■まるい江の島

古地図の江の島丸し桃の花  金子敦

「古地図」の読みは「こちず」でしょうね(それだと音数が足りないけれど)。

それはともかくとして、「古地図」も「江の島」も「丸」も「桃の花」もすべてが春らしく、のどかで平和。ほっとする句です。


売り物のソファーに座る日永かな  同

こちらもほっとします。句の内容そのままにリラクシンな句。


掲句はともに『セレネップ』第7号(2016年3月20日)より。

2016/03/19

■uncontrollable

侘助は冬の季語。

操縦不能侘助弐号なごむ  近藤十四郎

この侘助は飛ぶのだろう。

人が乗れたりもする。ものすごくちっちゃい人かもしれないけれど。


操縦不能とは、まことのっぴきならない状況だが、なぜか、なごむ。

このなごみは、もう、なんというか、侘助の《侘助性》によるものという言うほかない。


掲句は、1998年12月の作。当時から18年経過した現在も変わらず大好きな句。制御不可能な句が、しばしば私を捉えて離さない。



2016/03/18

■貝に貝柱、人に土踏まず

一月や貝に残れる貝柱  太田うさぎ

春淺し赤子にはなき土踏まず  土岐光一


なかなか暖かくなりませんね。


掲句はいずれも『なんぢや』第32号(2016年3月10日)より。


2016/03/16

〔3月のくにたち句会〕

2016年327日(日)14:00 JR国立駅改札付近集合

句会場所:ロージナ茶房(予定)

席題10題程度

句会後の飲食もよろしければどうぞ(会費アリ)


ご参加の方は、メール(tenki.saibara@gmail.com)、電話etcでご一報いただけると幸いです。

問い合わせ等も、上記メールまで。


その日の桜はどんなでしょうね。ちなみに、8年前、2008年3月26日、国立駅前の桜(↓)


■自分の句はすぐに他人事になる。そこがいいです、俳句は

生まれて初めて作った句やら。

【感想】家のなかにいることが大好きになれる俳句-部屋のなかで冒険しよう-
http://yagimotomotomoto.blog.fc2.com/blog-entry-1317.html


「なに、これ? ふざけてんの?」と訊かれたら、「はい」と答える句やら。

増俳bot
https://twitter.com/zouhai_bot/status/709849429495455744


ありがたいことです。

と同時に、他人事。句は自分と離れて、どこかに浮遊する。


2016/03/15

2016/03/14

■啖呵という文化伝統

話題になっている「保育園落ちた日本死ね!!!」という記事。

http://anond.hatelabo.jp/20160215171759

だいぶ前にツイッターで知り、読んで、「うまい啖呵だなあ」と感心しました。

口吻がいいし、リズムもいい。「活躍」などといううわついた用語への皮肉も効いている。

その後、「汚いことば遣い」等、否定的な見解が出てくるのを見て、「ありゃま、なんと無粋な」と、あきれると同時に、「ひょっとしたら啖呵の伝統が失われつつあるのかなあ」と。


啖呵が切れる、というのは、ステキなことなのですよ。



■かろうじて菅井きんの歌

春寒のコンクリートと鉄骨の思想としてのカルーセル麻紀  10key


みなさん、月曜日は、かろうじて菅井きんの歌ですよ。




2016/03/13

■ちあきなおみの一番

ちあきなおみでいちばん好きなのは、夜間飛行(吉田旺作詞/中村泰士作曲/高田弘編曲)。

まず前奏がいいですね。間奏のギターと語りも、とてもいいです。

あと、歌詞では、「二度と帰らないの。そして帰らないの」の「そして」という部分。これはすごいです。「そして」はなかなかです。

2016/03/12

■東京タイトル

タイトルに「東京」の語を入れる人は、まちがいなく田舎者。


そういえば、私も何度かやってる。


■靴のこと

何年間も「閉店セール」を謳い続ける店というのがあって、たいていの場合、靴屋、という気がします。

でも、もしかしたら、それは統計的でも経験的でもなく、有名な一例のせいかもしれません。

と、それはそれとして。

何年も売つてゐる靴昼の虫  満田春日〔*〕

町の靴屋、店頭にはサンダルなんかも吊るしたカジュアルな靴屋には、たしかに同じ靴が何年ももあいだ売れずに置かれっぱなしになっていそうです。いや、確実に、そういう靴、そういう店がありますね。

「あるある」は、俳句においては賛辞ではなく否定的な感想になってしまうようですが、そうではなくて、たしかに、ある。それが句になっていて、何の問題がありましょう。この手の「ある」、ちょっと懐かしいような、情けないような「ある」には、にんまりしていしまいます。

このあいだも昨日も今日も見たような現実。

これもまた、だいじな俳句的愉楽です。


一方、ヘンテコな靴も、最近、目にしました。

立てよさあ木べらみたいな靴男  榊陽子〔**〕

音数からすると「くつおとこ」なのでしょうが、耳男(坂口安吾)を思い出したりして、「くつお」と読みたくもなります。

木べらみたい、って、靴男じゃなくて、靴べら男なんじゃないか、などとも。

こういうくだらない(あえてすばらしくくだらない、と言っておきます。自分のことなのに、あえて)連想をもたらしてくれる句は、文句ナシに、良い。

願わくば、靴男には、この句だけでなく、いろいろなシーンで、いろいろな人/モノと絡んでほしいものです。



〔*〕『静かな場所』第16号(2016年3月15日)所収。

〔**〕ふらすこてん3月句会:ブログ「川柳もと暗し」
http://yoko575.blog.fc2.com/blog-entry-135.html

2016/03/08

■夜の海

おでん酒裏へ廻れば夜の海  山内美代子

旅先だと思いました。知っている地理ではない。思いがけなく眼前に広がる「夜の海」。ひょっとしたら、店内で海鳴りを聞いていたかもしれませんが、この座五は、一種、驚き。日常ではあり得ません。

もう春ですが、肌寒い日も多い。まだまだ食べますよ、おでん。


掲句を収めた山内美代子『藤が丘から 墨彩画と俳句と』(2015年12月25日/東京四季出版)は、副題にあるとおり、墨彩画と俳句から成る。例えば、こんな絵も。尻子玉句会所属として、挙げておきます。


2016/03/07

■月曜日は(あらてめて言います)菅井きんの歌

東京にまた月曜が訪れて四ツ辻ごとに辛酸なめ子 10key


みなさん、月曜日ですよ。

2016/03/05

【外階段】鐵砲洲(東京都中央区)あたり



ふつうは手前の籠平に目が行く(参考≫こちら)。写真を撮ったときも、そう。ところが、時間が経つと、外階段が気になってしまう。

2016/03/04

■海鼠の感触

『円錐』第68号(2016年2月15日)より。

酢海鼠や立てば足裏になにか踏み  山田耕司

踏んだときの感触と、海鼠とは、意味上のつながりはない(いわゆる「切れ」ている)。けれども、最初に鳴った音の響きが17音目まで残る、ということが、俳句ではよく起こる(というか、俳句とはそういうもの)。

むにゅ。

何を踏んだのだろう?


2016/03/02

■でこぽん



作者:嫁はん

原材料

デコポン:嫁はんの実家の鉢植え。今年は9個なったそう。これくらいの個数がちょうどいい。

砂糖:無垢の星濤(鴻商店)。いただきもの。ネーミングがアレですが、素晴らしい砂糖、かも。このマーマレード、おそろしく美味しいので。


【外階段】川越


2016/03/01

■リリカルの明るさ

『川柳木馬』第147号(2016年1月)より。

青虫リリカル 真昼間を生きる  清水かおり


「リリカル」というカタカナ語は、語感のせいでしょう、明るい。その明るさの担い手が「青虫」であり、舞台が「真昼間」であり、行為が「生きる」。どこまでもきわけて、明るい。うれしくなるほど、明るい。


ところで、音数の話(かなり些末な話です)。4+4+5+3=16音。

これ、575にこだわる人なら、青虫の後ろに助詞を入れて、5+4+5+3=17音にしそうなところなのですが(下五が「まをいきる」となって五七五感)、それではやはり間延びする。「青虫リリカル」(4+4)の導入が、とてもいいのですね。