2022/08/09

■波郷

西村麒麟さんによる波郷百句。


『俳句界』2022年8月号・特集「俳人たちの暮らした町」では、麒麟さんが、石田波郷の砂町を執筆。ご自身も現在暮らしているだけあって、いきいきとした記事。

波郷は、《バスを待ち大路の春をうたがはず》の開放感、《朝刊を大きくひらき葡萄食ふ》の充足時間も好きだけれど(どちらも初期ですね)、なにげないけど、あとでじわっとくる《鰯雲甕担がれてうごき出す》もいいですね。

ラヴ&ピース!

2022/08/03

■かき氷

世の中で一番、とまでは言わないけれど、最上級に贅沢なものに、宇治ミルク金時がある。

子どもの頃はこう言っていた。標準語で言えば、抹茶+あずき+練乳のかき氷。私にとっては、超豪華三点盛り。

街なかの上品な店で頼めば、それなりの代金。でも、これは、コープ(スーパーマケット)で入手可能。味はきっとそんなに変わらない(上品な店で食べたことがないから比べようがない)。


ラヴ&ピース!

2022/08/02

■エミコ

5音の語を見つけると、上に置くか下に置くか、考えをめぐらせてしまうのは、俳句に長く親しんでいる人間の性(さが)というか業(ごう)というか。

だから、八上桐子さんの


を見ると、

義母エミコ!

と(心の中の)大声で反応してしまう。

一連のツイートはリアル実話だろうから、こうして取り上げること自体、不謹慎とのお叱り・誹りを受けるかもしれないが、ま、そのへんは、どうでもいい。

八上桐子さんは俳句ではなく川柳の人だけど、5音・7音の使い手であるにはちがいない。それも名うての使い手だから、カタカナを用いた、この5音処理には、さすが、と称賛するしかない。

巧い演奏家は、楽器をすっと一動作するだけで素敵な和音・素敵なフレーズを奏でる。それと一緒なんですよ、この5音は。

はたして、義母エミコが、壮大な連作へと結実するか、ただ、ツイッター上の閃光としてだけ・2022年夏の出来事としてだけで終わるのかは、ぜんぜん知らんけど、なんか、まだまだ、いろいろ面白いなと思ったのでした。

このクソ暑いなか。

ラヴ&ピース!

2022/08/01

■繭の鼓動 『街』第156号より

白繭の微かな鼓動つらなれり  鷲巣正徳

なぜだか夜を思う。蚕が光を嫌うわけでもなさそうだし、どこにも夜とは書いていないのだけれど、「白」の効果かもしれない。

鼓動が連なると、白も連なる。その背景、というか、舞台は、やはり夜がいいということかも。

読者にも微動が伝わるような、美しい句。

掲句は『街』第156号(2022年8月1日)より。