2015/12/31

■鼻からスイーツ

中嶋憲武画伯がランちゃんを連れて、獣医さんとこへ予防注射に来るのは、年の暮の恒例行事。

今年は昼ごはんまでの暇に、俳句をつくることにしました。リレー方式のブームがまだ続いているらしく、上・中・下を順繰りに。

30分ほどで15句(いいペース)。

このなかに偶然、イコマ氏によるDM句会(詳細不明)の兼題含みの句があったので、投句しておきました(ひとつはその場に居合わせた嫁はんが改稿したので3名の合作)。

名義が必要だろうということで、ユニット名は「ザ・ノリーズ」。


※なお記事タイトルは記事内容と無関係。

青色が中嶋画伯、緑色が私。


■で、『桜前線開架宣言』をひらいたわけですが

煤逃。

最初の歌人、大松達知。

あら、まあ。

とてもおもしろい。調べがナイス。すごく、いい。

〈いい山田〉〈わるい山田〉と呼びわける二組・五組のふたりの山田  大松達知

自分のなかの「ただごとラヴ」「軽妙ラヴ」をあらためて実感した次第。


お正月にぱらぱらめくるのに最適ですね、この本。炬燵があればもっといいけど、うち、ない。

ややこしいのやめんどくさいのは飛ばして、ぱらぱらしたい所存。



■短歌の勝ち?

思った以上にピンクだった山田航編著『桜前線開架宣言』(2015年12月/左右社)。


句会のとき、こんな本、買ったよ、と俳人諸氏にお見せしたところ、ある人は手にとりページをすこしめくったとたん、「うっ、自意識が……」と、なにか濃厚すぎるソースに反応するかのように、目をそらしました。

「作者の自意識の発露がなにより苦手、だから俳句やってる」という人は多いようです。私も、その手の発露・披瀝はカンベンなクチですが(俳句にだって、ありますよ)、「自意識という芸」なら、イケたりします。1970年以降生まれの歌人を集めたこの本の、その点での濃淡については、これから楽しみに読んでいきます。

それよりも、いまどきの(とくに口語の)短歌=大喜利のネタ(すこし長めの)、という偏見はあって(俳句にだって、ありますよ。ざぶとん取りに行く句)、そのへんも確かめつつ味わいたいと思います。



帯の文句「21世紀は短歌が勝ちます」は、勝負相手を示さない点、きわめてじょうず。

相対ではなく絶対的な価値としての「勝ち」? とはいえ、相手が想定されているのかもしれません。

「何に、だと思う?」

「やっぱり、世間に、かな?」

昭和枯れすすき世代ですな。……貧しさに負けた♪ いえ、世間に負けた♪

2015/12/30

■人名さんは行く

人名17音(あえて俳句と呼ばない)は、静止画、ポートレイト。

人名31音(まちがっても短歌と呼ばない)は、動画、ショートムービー。

前者は人名に代替がきかない。後者の場合、誰をもってくるかはキャスティング。替えがきく。

その違い。


人名句集『チャーリーさん』増補改訂版

菅井きんの歌



2015/12/29

【句集をつくる】第7回 実務も少しはやらないと、です

過日来訪のイコマ氏が、句集の予算=チャーハン2000杯が目安、という記事をおもしろがって、「あれ、体積にすると、どのくらいでしょうね」と、暗算を始めてくれた。さすが東大理系大学院卒(これ、りっぱに学歴ハラスメントですね)。

結果、部屋いっぱいにはなりそうにないという、ぼやーっとした結論に達しました。

さて、今回は、実際に連作について頭を悩ませることにします。


例えば、《十一月八日ぽろりと臍の胡麻》という句から始まって、《十二月六日ふうせんだまに臍》〔*〕に終わる連作、数句から十数句を考えましょう。

初冬、あるいは冬前半です。途中、なかほどの位置に、もう一句くらい、日付の入った句がほしい。「十一月某日」といった不確定でもいいですね。「臍」はひつこいので入れない。気張らずに、句にするのがよいです。いまさら力を込めてもしかたがない(世の中もう終わってるんですから)。

《十一月某日メモに出汁の滲み》とかいって台所俳句。メモと日付はカブり気味なので、《十一月某日犬の鳴くテレビ》とかいって情けない感、《十一月某日ところどころ雨》と、惚けるとか。

「ところどころ」で思い出したのですが、最近、踊り字を使う人が増えている気がします。旧仮名に揃えて、ということでしょうが、「ゝ」とかはあるのに、2字以上に用いる「く」の長いやつは使っていないケースもあって、なかなか徹底できないものだなあ、と。もっとも、いまの印刷だと、この、たらーっと長い「くの字点」がきれいなかたちに出ない。見た目を考えると、ムリがあるのですね。

閑話休題。連作です。

十一月、立冬以後は冬ですが、体感的には、そうでもない。秋を引きずっています。林檎の句がほしい。林檎は秋の季語ですが、冬の感じもある。「冬林檎」という季語にはいまだに違和感があります。

そういえば、シクラメンも春の季語になっていますが、冬の感じですね。長く咲き継ぐ花。このまえ南房総の道の駅で買ったシクラメンは、いまもきれいに咲いています。もっとも、シクラメンはちょっと早い。年を越した時期の連作でよろしいか、と。

「初時雨」とか入れると、冬前半の感じが出そう、とかなんとか姑息なことを考えたりもしますが、いや待てよ、初時雨ってものが、自分のなかにあるかというと、あんまり、ない。時雨はあっても、それが「初」かどうかはわからない、というかそれほど関心がない。こういう季語は、「ああ、今年初めての時雨だ」ときちんと認識できる人が詠むのがよろしいです。キャラ(作家性)が出る。おおむねぼんやりしているのに、初時雨だけ、いやにシャキンとわかってるぽく書くのはちょっと奇妙。同じ5音なら「時雨かな」かもしれません。

ともかく、この「ふうせんだまに臍」(仮)は、臍的なこと、秋から冬になった的な気分が連作になるといい。それくらいゆるい括り。


〔*〕「風船」は春の季語でしょう?と疑義をはさむ人もいそうですが、気にしません。(この「風船」が季語かどうかという問題はさておき)、「一句に季語はひとつ」という「ルール」(というか原則?)はさすがに私でも知っています。そこをいまさら語ってもしたかがないので、前述のようなセリフには「そうですね」と答えておくか、ちょっと元気なときは「季語はなくてもいいし、200個くらい入ってもいいんですよ。それが有季定型ということです」と答えることにしています。すると、「こいつに季語のことを言ってもしかたがない」てなことで引き下がってくれる。私としてもムダな時間が省けます。

2015/12/28

■くにたち句会、無事終了

席題6題。「頭に付けるもの」なんてお題も出ましたぜ。

県知事の頭の上の中華そば 10key

句会後は鮟鱇鍋その他。


【写真1】嫁はんがサツマイモのつもりで買って蒸かし、割ってみたら、ありゃま、ムラサキイモだった。事故・まちがいがもたらした色、あざやかな色。

【写真2】賜り物の日本酒。



■師走を走る菅井きんの歌

売れ残りしケーキ山なす路地裏を抜ければ菅井きんの待つ町 10key

毛皮着てチャーリー浜のモノマネでゆくよ世界の果てのきりぎし

二〇一五年が終はるかなしみのごらんよジャンボ鶴田の背中

といふはネブカドネザル二世のところでけふの鍋はなに鍋?


みなさん、今年最後の月曜日ですよ。


2015/12/27

■『週刊俳句』の年末号はボリューム満点で煤逃に最適

これ↓↓↓、ね。
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2015/12/453-20151228.html

字に疲れたら、生駒大祐・堀下翔両君の「年末大放送」を観て和む、という手も。



私にとっては、若い人の話をたくさん聞いた号でもあります。上に書いた「放送」もそうですが、柳本々々へのメールインタビュー。

柳本々々さんによる解題記事はこちら↓

自分から何か俳句について言ったりすることはだんだんと減ってきている感じはあるのですが、「聞く」という仕事は、ひつこく長くやれるのかもしれません。




ちなみに、昨年の第400号記念号と年末号。

http://weekly-haiku.blogspot.jp/2014/12/40020141221.html
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2014/12/40120141228.html

2015/12/26

■業界最小最軽量『はがきハイク』第13号

ぼちぼちと『はがきハイク』第13号が届いていると思います。


こちらから勝手に送りつけております。漏れも多数かと思います。

「これまで来てたけど、今回は来ないぞ」、あるいは「なんだそれ? 見たいから送れ」という方は tenki.saibara@gmail.com まで。

2015/12/25

■『週刊俳句』年末号予告:うの付くものにうなぎパイ(あるいは饂飩)

過日、『週刊俳句』の年末記事のための録画。

イコマ氏来訪。手みやげにうなぎパイ。あえてやるベタ、という意味で、とても俳句的。



数へ日や夜のお菓子を昼間喰ふ 10key


腹ごしらえに、釜揚げうどん肉吸風。


イコマ氏はいまだ膨張を続けている。かようなる事態の責任の一端は、私たちにもある。

それはともかく、録画は、とてもリラックスした雰囲気で軽く完了。『週刊俳句』の年末号(12月27日)をお楽しみに。

2015/12/24

■12/24

クリスマス・イヴです。

夜更け過ぎに雨が雪になったり、恋人が来なかったり、その程度のドラマではとうてい満足できません。

定食で生きる男のクリスマス  中嶋いづる




2015/12/23

■2015年テレビドラマの「いちばん」

2015年のテレビドラマでいちばんおもしろかったのは、なにか?

64(ろくよん)です。(≫WIKIPEDIA

これはもうダントツ。迷うことはありません。

ただし、全篇観たといえるのは、ほかに「怪奇恋愛作戦」(テレビ東京・これ次点)、「山田孝之の東京都北区赤羽」(テレビ東京)、「孤独のグルメ・シーズン5」(テレビ東京)、「破裂」(NHK)くらい(テレ東、多い!)。一部観たというのを合わせても10本行かない。比較的、観ないほうでしょうか(平均がわからない)。

それとほとんど録画。いまはハードディスク録画があるので便利ですね。それに、コマーシャル飛ばせるし。

で、「64」なのですが、映画化もされるそうで、それはそれで楽しみです。


2015/12/22

■川ラヴァー・橋ラヴァー暮らし、変わらず

いまも多摩川を走っています。夏よりも頻度はかなり落ちたものの。

先日は、かつてよりの企てであるところの川崎までダウン・バイ・ザ・リヴァー。途中かなりのんびり走って、川崎大師まで2時間30分。片道30km強というところでしょうか。トータルで70km近く走ったっぽい。

さすがに脚にきました。行きはよかったのですが、帰り、向かい風もあって、へろへろになって帰宅。じょじょに距離を伸ばさないとダメですね。いつか、浮島まで走って、東京湾を見てきます。

川崎の中心地の手前。

帰りは東京都側、二子玉川方面へ。
対岸にラジオ日本の送信アンテナ越しの富士山。

2015/12/21

■菅井きんの日・菅井きんの歌

科学的根拠を欠いたまま今日は地球ぜんぶが「菅井きんの日」  10key


したがいまして本日、菅井きんの歌はお休みです。


2015/12/20

■最近のびっくり

大好きな映画『アバウト・ア・ボーイ』(2002年)の子ども役と、今年最高に面白かった『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』(2015年)のニュークス役の俳優が同一人物なことを最近知って、吃驚。
13年の歳月。
はがきハイクの「最近のびっくり」にこれを書こうと思ったのだけれど、長すぎるのでやめた。
というわけで、「はがきハイク」第13号は、もうすぐです。



■消息:やや旧聞~2015年12月中旬

『連衆』第72号に「かの夏を想へ」(11句+菅井きんの歌11個)を掲載していただいています。

『連衆』は、谷口慎也さん(大牟田市)編集・発行の「短詩型文学誌」。この号には招待作家として柿本多映さんが22句寄稿。

ご興味のある方は tenki.saibara@gmail.com まで。残部僅少につき、複写等になるかもしれませんが、お送りいたします。



『週刊俳句』にこのところ【句集を読む】を4本。

第451号:【句集を読む】父に靴を 飯田冬眞句集『時効』の一句
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2015/12/blog-post_5.html

第452号:【句集を読む】なつかしい映画 柏柳明子句集『揮発』の一句
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2015/12/blog-post_20.html

同:スケールが引き起こすもの 矢野玲奈句集『森を離れて』の一句
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2015/12/blog-post_97.html

同:捨てられる直前の記憶 杉山久子句集『泉』の一句
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2015/12/blog-post_61.html

年内に書いておきたかった句集は他にもたくさんあり、積み残しとなりました。

ウラハイにひさしぶりの「コモエスタ三鬼」。
http://hw02.blogspot.jp/2015/12/40.html

2015/12/19

■風邪にお気をつけください

spica という俳句サイト。

ペン先をペンへ引つ込め風邪心地  野口る理

食卓や私のほかは風邪ひいて  江渡華子

11月の新作は風邪の句がおもしろい。

それで、神野紗希さんの10句を見たのですが…


風邪の句はなかった。


2015/12/18

■くにたち句会〔12月〕のお知らせ

2015年1227日(日)14:00 JR国立駅改札付近集合

句会場所:ロージナ茶房(予定)

席題10題程度

句会後の飲食もよろしければどうぞ(会費アリ)


ご参加の方は、メール(tenki.saibara@gmail.com)、電話etcでご一報いただけると幸いです。

問い合わせ等も、上記メールまで。


2015/12/17

■感動?

「感動を俳句にする」。わりあい目にします。作句法の入門書・指南書に限らず。

ためしに、この文言でググッてみると、≫こんな具合


しかしながら、冷静に考えてみてください。人間、そうそう感動なんてするものではありません。

一方、句はたくさん生まれます。句会、俳句雑誌、句集。

ある一人の俳人が、句の数だけ「感動」していたのだとしたら、その人は、そうとうヘンな人です。

「感動屋さん」と呼んで済むようなレヴェルではないです。


だいじょうぶですか? 「感動から俳句を作りなさい」なんて言ってる人。

2015/12/14

■夜は夜ごとの菅井きんの歌

雨の降る夜に語り合ふ多様性維持と辛酸なめ子のことを 10key

真夜中をベティー・ブープの靴音のはるかより来てはるかに去りぬ

錆色の夜空をあふぎつつ行けり口笛で吹くエノケンの唄


みなさん、月曜日ですよ。

2015/12/11

■おかえり


■鳥のゆくえ

ポストです鳥の行方を聞かれても  内田万貴

俳句の人なら、春、「鳥帰る」の季感で読むかもしれませんが、そんなことより、ポストという「移動」の予感を孕む事物と「鳥の行方」の照応。

だって、知っていそうじゃありませんか、ポストなら。

ポスト「知らんよ」。



鳥が白い封筒に見えてくる不思議も、不意に。


掲句は『川柳木馬』第146号(2015年10月)より。

2015/12/10

■鈴

六月に生まれて鈴をよく拾ふ  生駒大祐

私も六月生まれなのですが、だからと言って鈴をよく拾うわけではなくて、だいたいにして鈴がそんなに落ちているわけはないのだから、これはつまり、この世とは薄皮一枚を隔てた別の世界の出来事のようにも思え、いや、しかし、そんな人も、この世の現実にいるのかもしれない。

拾うとき、鈴の音が小さく鳴ったりして、そうなると、またもや、ちりんと、違う世界の出来事めいてくるのであります。

掲句は『オルガン』第2号(2015年7月30日)より。



2015/12/09

■12月6日のこと

12月6日、山本勝之の命日でありました。


≫山本勝之「喫茶・鍵」
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2007/08/blog-post_24.html



≫亡くなったその晩に書いた「週刊俳句」後記
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2008/12/085_07.html

≫山本勝之の一句について書いたもの
http://tenki00.exblog.jp/4116418/



2015/12/08

■12月初旬の消息その他

≫『俳句界』2015年12月号を読む
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2015/11/201512_29.html

≫『俳句』2015年12月号を読む
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2015/12/201512.html

≫八田木枯の一句:水洟やどこにゐようと日は西に
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2015/12/blog-post.html



ソファーの句(生まれて初めてつくった句:『けむり』あとがき参照)を、柳本々々さんが引用してくださっています。いろいろな場所に置いてもらえる句は幸せです。

【お知らせ】はらだ有彩「12月のヤバい女の子/喪失とヤバい女の子」『アパートメント』レビュー
http://yagimotomotomoto.blog.fc2.com/blog-entry-1176.html



2015/12/06

■勝手に組句:使用前後・使用中

吊られゐて潜水服の中おぼろ  杉山久子 『泉』

白南風や潜水服のなかに人  10key 『けむり』




2015/12/05

2015/12/04

【句集をつくる】第6回 連作ユニットの件




前回・前々回のオカネの話からがらっと変わって、今回は内容の話です。

「5句から数十句単位の連作の集合にするスタイル」というアイデアについて第3回に書きました。

連作のタイトルは(ゆるやかな)詞書/前書として作用することがある。そう気づいたので、その考え方を実行しようと思います。

≫流体力学 10句
http://sengohaiku.blogspot.jp/2014/01/haikuworks1_31.html

「河童」と明示せずに10句全体の詞書として「流体力学」。この体(てい)で行こうという考え。したがって、一句の中の一語(熟語等)を抜き出してタイトルにするという、よくあるやり方は、きほん、しません。それが〈ゆるやかな詞書〉になっている場合を除いて。

さて、実際の作業は、新しく連作として何句かをまとめていくほか、例えば上記「流体力学」10句を生かす、あるいは元にして加減(足したり引いたり)していく、推敲するという作業。ほんとうの詞書にした書名を生かすかどうかを含めて検討(この大真面目な冗談は、きっと残します)。

もうひとつ、土台になる連作例。

≫俳風昆虫記〔夏の思ひ出篇〕 99句
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2012/09/99.html

これは『けむり』収録句を除くと81句。これを元に加減乗除。

さらに。

≫走れ変態 9句
http://weekly-haiku.blogspot.jp/2014/07/9.html

これは当時のタイミングでの座興の要素が強いので、また変態句を一箇所にまとめると、変態を収容所に閉じ込めておくようで(というヘンな理由で)、バラして、他の連作に紛れ込ませることにしましょう。「暮らしの中の変態性」。

といったあんばいで、『けむり』以降、いろいろなところに掲載していただいた連作を机上に/俎上に載せて、切ったり貼ったり赤を入れたり補充したりという、楽しい作業が、まず待っていますね。補充用に、バラの句も用意しつつ。

このように考えていくと、句数が足りているような錯覚に陥るから、不思議です。


ま、そんなこんなで、なにはともあれ、楽しく行きましょう。

2015/12/03

■バイカル湖へ 『川柳カード』第10号を読みました

『川柳カード』第10号(2015年11月25日)。同人諸氏の作品10句ずつが並ぶなか、飯島章友「ほらここに」がおもしろかった。

上向きにすれば蛇口は夏の季語  飯島章友

ふだん俳句に親しんでいる者としては(あるいは、そうでなくとも)、納得感があります。景が思い浮かびやすい(例えばグラウンドの端っこに水道で運動のあとの喉を潤すの図。青春!)こともあり、わかりやすい句です。

わたくしの一指がまじる十二指腸  同

ハ行音まみれの二十二歳だな  同

ほらここにふらここがあるバイカル湖  同

指つながりとか、音つながり(ほらここ、ふらここ)とか、言葉遊び(いい意味です、常に。言葉を遊ぶのは常に、いいこと)の成分が強い。そこへもってきて、「バイカル湖」という有無を言わさずワケのわからない帰結がくっついています。快感ですね。

なお、

球根の寝息かすかな月明かり  同

…といったポエティックな句もあります。広レンジの10句。



この号では、暴力的でちょっと禍々しい材料に、コクのある諧謔と触感を含ませた次の2句もお気に入りです。

殺さない約束で逢うラヂオ塔  くんじろう

弾薬が泳いでいるよ和金だよ  榊陽子


加えて、表紙にもあるように「第三回川柳カード大会」のレポートも充実。

※『川柳カード』についての問い合わせ等は、以下のサイト。
http://senryucard.net/



2015/12/02

■言葉とか文字とか 『鷹』2015年12月号

『鷹』2015年12月号に本年度の「同人自選一句」。年末号らしい企画ですね。

主宰と編集長(編集部?)のお二人の自選一句は、以下のとおり。

言葉は帆四海料峭吹きわたり  小川軽舟

月涼し旅の記憶を文字にして  髙柳克弘

「ことば」への信頼をあらためて表明するかのような二句と思いましたよ。



同時に、ジャンルへの信頼もあるようです。俳句というジャンルへの。

そういう態度はすこしうらやましくもあります。


※例によって、記事内容とは無関係に、ソウル・コフィン。

2015/12/01

■暖冬?

…のようですが、少しずつ寒くなってきました。もっと寒い気分に浸りたい気もします。レジデンツのエスキモーでも聴くことしませんか?