2018/03/02

■妙味 『円錐』第76号の山田耕司

贔屓の咄家を聴いているような安心感。

しばらくは文鎮たるも烏瓜  山田耕司

俳句を落語と並列に論じるのは、どちらを軽んずるわけでもない。ネタ(話題)の興趣、語り口のよろしさ。それらは双方に共通する美徳であり、好悪の判断基準。

人間に便所のありて鳥渡る  同

年ゆくや原子炉にドアそしてドア  同

消化と排泄。ヒトも物理もエネルギーもダイナミックかつ滑稽。以下は視線にまつわる2句。

冬の日や牛は去りつつまだ見えて  同

寒鯉をみてゐるわれのふと動く  同

掲句は『円錐』第76号(2018年2月15日)・山田耕司「蠅の秋」15句より。

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