〈12音+季語〉の頻度や浸透度について、実際の句集で見ていっているわけですが、少々飽きました。〈12音+季語〉の句は、句としてマジョリティにはあるのですが、それ以外もたくさんあるよ、ということがわかれば、それでいい。
なので、最後の句集にします。
いやあ、出てこないなあ。かなり少ない。というか、ぜんぜん、ない。ってのが、生駒大祐『水界園丁』(2019年6月/港の人)です。
やっぱり? という人もいれば、意外だ! という人もいるでしょう。10句目に《声のある家を覗けば枯芙蓉》、11句目に《鱈驚く中華麵より湯を切る音》がありますが、どちらも季語の「斡旋」て感じじゃありません。なにしろ《鱈驚く》ですから。こっちが驚いちゃいますよ。
34句目の《針山の肌の花柄山眠る》が形としてそうですが、「山」の相同/転換で遊んでいるので、あとから《山眠る》を持ってきたわけではないでしょう。ただ、〈12音+季語〉の特徴、いわゆる「季語が動く」(きらいな言い方です。二句一章はそりゃ動きますよ。「これは動かない」なんて、したり顔でおっしゃられても、ねえ。動かそうと思えば動きますよ)ということでは、《山笑ふ》でもいいだろう。でも、それでは句として賑やかすぎる。《山粧ふ》はツキすぎるし、《山滴る》は液体が針とぶつかりすぎる。こう考えていくと、《山眠る》は、いわゆる「動かない」「正解」としてよさそうです。よく出来てる。
というわけで、『水界園丁』もまた〈12音+季語〉パターンがとっても少ない句集でした。
生駒くん、おめでとう!
って、何がめでたいんだか。
ラヴ&ピース!
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