川合大祐『リバー・ワールド』2021年/書肆侃侃房
失った世界ガソリンスタンド忌 川合大祐
たましひの須田町眠る半分忌 忌日くん「をととひの人体」
世界がすべて失われるよりも、半分だけのこるほうが、ずっと怖ろしい。
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無 ホカホカねえさん以外すべて虚無 川合大祐
泣いて無意味な兄も素敵な土用波 竹岡一郎「バチあたり兄さん」
こっちの俳句岸は、虚無虚無虚無。虚しいよ。そっちの川柳岸はどうですかー、川合さーん。
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京大の麻婆丼がうつくしい 川合大祐
東京の美しき米屋がともだち 阿部完市
学食はたまた百万遍の王将なのか? 本郷あたりの米穀商なのか?
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猿に似た長方形を持ち歩く 川合大祐
寝てしまふ猿を起して猿廻し 下田実花
眠っているあいだは、誰によらず何によらず長方形。かもしれないよ。
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実在に全力もって小池歯科 川合大祐
島田様たびたび泣きにやってくる 樋口由紀子
「どこやねん句」に「それ誰句」を。
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草を食む宇多田ヒカルに似せた牛 川合大祐
馬齢噓こき矢野顕子総入れ歯 西原天気〔回文〕
自作をそっと忍び込ませる。掏摸の手際。
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「山本リンダ」 川合大祐
布施明「君は薔薇より美しい」 西原天気〔未発表〕
同上。あるいはレディメイド。すでに失われ、すでに虚しく、すでに美しい。
(『ザ・ブック・オブ・ザ・リバー』へと、つづくかもしれない)
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