A 古いタイプ=他人思い=情で動き、義を重んじる=日の目を見ないor敗残寸前=いいやつ
B 新しいタイプ=自分勝手=行動や態度が現金=チヤホヤされている=ヤなやつ
この2つの相克において、クリント・イーストウッドは、監督しようが出演しようが、もう、ひつこくひつこく、「古いタイプ」の勝利を描く。
『人生の特等席』(ロバート・ローレンツ監督/2012年)は、職人気質・昔気質のスカウトマン(クリント・イーストウッド)と娘(エイミー・アダムス)の関係修復物語。いろいろあって、結局、データしか見ない新タイプのスカウトマンやら、大リーガーになって女を抱くことしか興味がない高校生スラッガーやら、ゴマスリで出世欲の旺盛な仕事上のライバルは、「勝負」に敗れ、古いタイプの「いいやつ」らが笑顔で終わる。
王道だ。
クリント・イーストウッドは(そして多くの映画は)、「古いタイプ」のお伽話、「いいやつ」のためのファンタジーを私たちに届け続ける。
現実の世界では、 「新しいタイプ=ヤなやつ」がちゃっかり成功をおさめて、勝者の側に居座り続けることが多いのであって、だからこそ、お伽話やファンタジーが要る。
イーストウッド映画に限らず、アメリカ映画に、「いろいろあっても善良な人々が最後には笑う」映画がかくも多いのは、現実がいかにその逆かの証左なのだろう。
お伽話、ファンタジーは、大事。
『人生の特等席』という邦題に嫌気がさして、見送る人も多そうなこの映画(原題は Trouble with the Curve)、 このところの「イーストウッド・クオリティ」を期待するとガッカリするかもしれませんが、つまらないことはない映画。でも、凡作といえば凡作。いわゆる「中の上」。
ちなみに、ジョン・グッドマン(すごい名前だと思いませんか。邦訳するすると「善人太郎」?)がいい感じです。
0 件のコメント:
コメントを投稿