2019/06/21

■海と皮膚 『豆の木』第23号より

寒卵海の近くに肌がある  楠本奇蹄

皮膚と冬の海の照応ということで、《水枕ガバリと寒い海がある 西東三鬼》を思い出したりもする。

小さな固体(=卵)と大きな液体(=海)の対照がまずあって、そこに肌が寄り添う。三鬼句よりも複雑な構造。

海を近くするという人間側の感覚ではなく、海から距離が出発するという軽い転倒もあって、さらに念入りな構造。

掲句は『豆の木』第23号(2019年6月1日)より。

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