2019/08/04

■湘子百句をぱらぱらと

小川軽舟『藤田湘子の百句』をぱらぱらめくって愉しむ。こういうものはアタマから読むものではないと個人的に思っているので、近くにおいてあるあいだ、ぱらぱらと。

愛されずして沖遠く泳ぐなり  湘子

が、26歳の作なのか、へぇー。青春回顧じゃなくて、ほぼ青春じゃないか!(すでにはんぶん回顧という意見のありましょう。26歳って年齢はどうなんでしょう?)とか、句の周辺情報もときとして愉しい。

ラブホテルなども眺めや鯉幟  湘子

とか。俳人協会をはじめとする俳句自警団の方々から忌み嫌われるカタカナ語、しかもラブホテル。湘子もその師・秋櫻子も「詩にならない卑俗な材料を好まないところがあった。(…)しかも湘子の嫌いなカタカナ語だ」と著者・小川軽舟も驚いている。「一日十句」の賜物らしいので、多作は、毀れる・毀す働きがあるのかも。とか。

酢海鼠や大阪女かはいらし  小川軽舟『手帖』

は、

坂東の血が酢海鼠を嫌ふなり  湘子

への応答なのか? とか。


△△の100句といった選集は自選を含めたくさんあって、分量的にも手軽。がっつり全・句集あるいは全句・集を読むのもいいけれど、エネルギーや時間には限りがある。CD・レコードでいうえばベスト盤も、いいものだ、と思うんですよね。

ラヴ&ピース!


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