2021/08/30

■まっすぐに願う 佐藤文香『菊は雪』

雪降ればいいのに帰るまでに今  佐藤文香

末尾に2音くっついた「今」が句の解釈を難しくしていると思うのだけれど、帰るまでには降ってくれよ、いや、じゃなくて、いま降れ、というふうに読んだ(誤読かもね)。性急というのもあるけど、まっすぐな願い、希求。

まっすぐって、気持ちのいいものですよ。こういう場合。

『菊は雪』(2021年6月/左右社)には、(世界に向けた)まっすぐな願いがたくさんあるように感じました。

これは、ちょっと意外。自分としては意外な読後感。一句へのと仕上げる経緯には紆余曲折があるはずだし、方法論を外すこともするのだけれど、全体の仕上がりとして、爽快なほどまっすぐな願いが色濃い。

星々に雪ふる空を授けたる  同


いろいろな人がすでに豊かに論じている、またこれかも論じる句集だろうけど、私は気ままに頁から頁へとうろうろするつもり。「句集制作ドキュメンタリー」というユニークな付録もあって、これはこれからゆっくり読もう。

ラヴ&ピース!



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