炬燵欲し炬燵欲しとて自転車漕ぐ 小川春休小川春休句集『銀の泡』(タカトープリントメディア・2009年10月1日)には、小唄のような気持ちのいい句がたくさん。
俳句というのは、どうしたって交響曲にはなりえないのですが、うまくすれば、泥臭いブルースだったり、きれいなバラードだったり、バッハっぽかったり、あるいはテンションいっぱいの現代音楽だったりもするわけです。
(演歌だったり大漁節だったりもしますが、そういう句集は、個人的にはあまり読みたくありません)
音楽の好みからしても、私は、小唄が好きで(声を張り上げるのはあまり、ね)、例えば、初期ライ・クーダー。古い小唄を軽い調子でリラックスして唄う。生成りのようなピュアなところもあって、少し泣かせて、きほん微笑んでしまう。『銀の泡』は、そんな小唄の感じ。
以下、「おひねり 十一月」の章から気ままに。
新藁の山の崩れて降りつづく「新藁」の句は、子規「あたたかな雨が降るなり枯葎」を思い出しますね。
茸狩の人やリムジンのぞき込み
澄む水をかためてさしみこんにやくよ
焼き上がる鯛焼のみなこちら向き
天井の隅つこの暮早きこと
靴底に枯野の小石はさまりぬ
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