2009/11/15

銀色の裏地


  コピー機のひかり滑りぬ冬の雲  中嶋憲武

冬の雲に、その裏にある太陽光が美しく映えることがある。なめらかにすべるように。

Every cloud has a silver lining. 

裏側は見えないけれど、冬雲の縁(ふち)が、裏側から洩れた光でまぶしく輝くことがある。

この人の句の哀しさと可笑しさ(どちらもなにげない)は、雲の裏側の明るさ、なんだなあ、と思う。


掲句は週刊俳句・落選展2009出展作品「昧爽」より。「住処」と併せ、この100句、いいです。昨年の50句よりも色合いが沈潜して洗練を増した気がします。

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