2022/04/01

■ガラス屋の運ぶガラス 湊圭伍『そら耳のつづきを』より

ガラス屋の軽トラの荷台のデュシャン  湊圭伍

マルセル・デュシャン(1887 - 1968)の代表作のひとつ、通称「大ガラス」の正式(?)名称が「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」だということは、この際、あまり関係がなくて、問題は大きさ。軽トラの荷台に載るのか? 載らんだろう、というくらいに大きい。名前のとおり大きい。2018年に東京国立博物館で見たときも、想像を超えて大きかった。

この句、「大ガラス」とは限定していないので荷台に積める作品はたくさんある。たいていのものは積めそう。なんなら、デュシャンも積める(道交法違反? 想像すると、かなり可笑しい)。それでも、どうしたって、「大ガラス」を思い浮かべる。

つまりは、「載るのか? 載らんだろう」という、いわゆるツッコミ待ちの句なのだろう。

ボケとして成立する句は、わけのわかるボケもわからないボケも(この句は前者)も好き。ちなみに、ツッコミの句も好き。どちらも、他者と関わる意思のある句だから。

ラヴ&ピース!

掲句は、湊圭伍『そら耳のつづきを』(2021年5月/書肆侃侃房)収録。

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