今年の桜、見頃の時期が短かったような気がします。
さて。
ゴールポスト遠く向きあふ桜かな 相子智恵
ゴールポストの向き合う種目はいくつかあるが、やはりサッカーをまず思い浮かべる。〈ポスト〉とあるので、ネットはない。競技場よりも学校だ。おまけに〈桜〉なのだから、これはもう、学校のグラウンド以外にない。だって、桜と学校は、卒業式・入学式と桜の満開とは季節がほぼ一致するからだろう、風景としてワンセットになっている。そして、多くの人にとって懐旧のにじむワンセット。
ゴールポストを主役にすることで、人の影が消えている。そこにいるのは作者のみ。時間によっては人がたくさんいそうな場所で、作者ひとり。
写真などで言うところの「抜けのいい」句。
掲句は相子智恵『呼応』(2021年/左右社)収録。
ところで、学校の桜は、街路や川沿いの桜よりものびのびと大きく枝を張っているような気がする(気のせいかもしれない)。スペースが充分なので、根の張り方が違うのもしれない(ちがうかもしれない)。
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