池袋駅にさしかかったとき、広告看板に「ものつくり大学」の文字。「ものづくり」だと思っていたが、「ものつくり」なのか。
ええっと、濁音便、正式には「音便の濁音型」というらしい、その話です。
「手作り」を「てつくり」とは言わない。なんだか別のものみたいに聞こえます。鉄栗? なお、罪作りは「つみつくり」です。
「ものつくり」なんて読み方がおおっぴらになっているとすると、濁音便は減少傾向にあるのかもしれません。宮仕えを「みやづかえ」じゃなく、「みやつかえ」と読んだり? お小遣いが「おこつかい」になったり? 金蔓(かねづる)が「かねつる」になったり?(蒲鉾メーカーみたいですね)。
ものつくり? 国語的にどうなのか知りませんが、ヘンなの。なんか、顔にデキモノをつくっちゃったみたいな感じです
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さて、「春隣」という季語。人によって「はるどなり」と「はるとなり」に分かれるようです。
両隣(りょうどなり)、右隣(みぎどなり)と同様に、私は「はるどなり」と読んでいます。「はるとなり」だと「春となり」みたいに聞こえちゃうから、というのもある。「はるどなり」が「春怒鳴り」に聞こえることは、まあないだろうと踏む。
大辞林では「はるどなり 【春隣】 〔「はるとなり」とも〕…」とある。講談社大歳時記には「はるとなり」しか読みが示されていない。「春隣る(動詞)」は「はるとなる」としか読みようがないが、合成語の名詞と捉えるなら、濁音便が入っていいと思うが、どうなのだろう。俳句では「はるとなり」が主流なのか。
叱られて目をつぶる猫春隣 久保田万太郎
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