煙突に雨がいちにち花ずはう 田中英花煙るような雨の日は、なんとはなしに煙突を眺めてしまう。低い屋根から突き出た湯屋の煙突やら、道の遠くからでも見える焼却炉の煙突やら。雨量が変わらずコンスタントにいちにち降る雨と煙突はなんだかよく似合うので、見てしまう。花蘇芳も、いちにち煙るように降り続ける雨によく似合う花。季節は春。
掲句は『じやがたらの花』(2009年9月・ふらんす堂)より。「だだびろき海を見ている金屏風」の取り合わせの妙、「涅槃図の小鳥に風の出てきたり」の虚、「横に割るはずの炭なり盾に割れ」の飄逸。いろいろな句を楽しく読ませていただいた。
作者の略歴には、1949年生まれ、元「火星」、現「椋」会員とある。
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